関西学院グリークラブ

関西学院グリークラブ

関西学院グリークラブは、1899年に創設された日本で最も歴史のある男声合唱団です。関西学院大学の学生によって構成され、その活動は120年以上にわたります。技術顧問には同大学職員の広瀬康夫氏が就任しています。

概要

創立は1899年、原田の森（現在の神戸市灘区）にあった関西学院のキャンパスで、数名の学生による賛美歌の四部合唱が始まりとされています。1930年には、当時のマネージャーであった井筒長治郎が提唱した「メンタルハーモニー」がクラブのモットーとなりました。これは単に技術的な調和だけでなく、心の調和も重視するという意味が込められています。

指導陣にも恵まれ、戦前から山田耕筰に師事した林雄一郎による純正調ハーモニーの習得や、プロの指揮者となった北村協一による黒人霊歌や日本の組曲への挑戦、畑中良輔によるドイツ歌曲を中心とした海外オペラ曲への挑戦など、日本の男声合唱界を牽引してきました。1965年にはアメリカ演奏旅行を行い、リンカーンセンターでの演奏を成功させました。同年には、「アイヌのウポポ」など高度な技術を要する日本語の曲に取り組み、その一部をアメリカでの演奏曲目としています。この頃から、活動の主体をコンクールから演奏会へと移しました。

関西学院グリークラブは、重厚なベースパートと繊細なテナーによるハーモニー、日本語・英語の丁寧な発音、そして折り目正しいステージマナーで知られています。

主な活動

主な活動は、年3回の演奏会（東西四大学合唱演奏会、関西学院グリークラブフェスティバル、関西学院グリークラブリサイタル）とコンクールへの出場、そして演奏旅行です。これまでに、1976年と2015年の2度、長井賞を受賞しています。

エピソード

全国の男声合唱団で歌われている「ウ・ボイ（U Boj）」は、戦前、神戸に滞在していたチェコ軍から譲り受けたもので、多くの演奏会でアンコールとして歌われています。

ディスコグラフィー

「合唱名曲コレクション」シリーズは東芝EMIから、「日本合唱曲全集」はビクターエンタテインメント（現・日本伝統文化振興財団）から発売されています。また、公式サイトではプライベート盤も販売しています。

主な作品には以下のものがあります。

日本合唱曲全集 月光とピエロ 清水脩作品集 - 「アイヌのウポポ」を担当。
日本合唱曲全集 雨 多田武彦作品集 - 男声合唱組曲「柳河風俗詩」「中勘助の詩から」を担当。
合唱名曲コレクション9 マザーグースの歌 - 青島広志「マザーグースの歌」から4曲を担当。
合唱名曲コレクション21 月光とピエロ - 清水脩「月光とピエロ」を担当。
合唱名曲コレクション24 レクイエム - 三木稔「阿波」を担当。
合唱名曲コレクション25 川よとわに美しく - 平吉毅州「さすらいの船路」を担当。
合唱名曲コレクション27 尾崎喜八の詩から - 多田武彦「尾崎喜八の詩から」を担当。
合唱名曲コレクション28 雪明りの路 - 多田武彦「雪明りの路」「在りし日の歌」を担当。
合唱名曲コレクション30 最上川舟唄 - 清水脩「大漁祝い」など5曲を担当。
合唱名曲コレクション31 ギルガメシュ叙事詩 - 青島広志作曲。出発の巻、帰郷の巻を収録。
合唱名曲コレクション32 グリークラブアルバム第1集 - 2曲を担当。
合唱名曲コレクション33 グリークラブアルバム第2集 - 7曲を担当。
合唱名曲コレクション36 グリークラブアルバム第3集 - 9曲を担当。
合唱名曲コレクション37 グリークラブアルバム第4集 - 2曲を担当。
合唱名曲コレクション41 雪国にて - 多田武彦「雪国にて」を担当。
日本の合唱 上（ビクター） - 石井歓「枯木と太陽の歌」を同志社グリークラブとともに演奏。LP。
グスタフ・マーラー 交響曲第2番「復活」（キングレコード） - 朝比奈隆の指揮による大阪フィルハーモニー交響楽団創立40周年記念演奏会ライヴ。武庫川女子大学音楽学部とともに演奏。

主な初演作品

青島広志 - ギルガメシュ叙事詩 出発の巻 / ギルガメシュ叙事詩 帰郷の巻 / 11ぴきのネコ（男声版）
菅野浩和 - らくがき帖
多田武彦 - 中勘助の詩から / 雪明りの路 / 航海詩集 / 白き花鳥図 / 中原中也の詩から / 尾崎喜八の詩から
新実徳英 - ことばあそびうたII / 鐘の音を聴け
平吉毅州 - 子供の国 / さすらいの船路
源田俊一郎 - ディズニー名曲集 / Musical "Man of La Mancha" / Musical「オクラホマ!」
千原英喜 - 耳無芳一合戦壇ノ浦

全日本合唱コンクールでの成績

戦前の競演合唱祭で3連勝（1933年～1935年）の実績を持ち、戦後の全日本合唱コンクールでも多くの賞を受賞しています。1948年の第1回全国大会では一般部門で優勝し、その後も第6回まで6年連続で優勝、第15回までに計12回の優勝を果たしました。1963年の招待演奏を最後に、しばらくコンクールから離れていましたが、2006年より再び出場しています。

近年のコンクールでの成績は以下の通りです。

2006年：金賞
2007年：銅賞
2008年：不出場（関西大会では金賞）
2009年：銅賞
2010年：金賞（兵庫県教育長賞、カワイ奨励賞）
2011年：金賞（青森市教育長賞）
2012年：金賞（富山県教育委員会賞）
2013年：金賞（千葉市教育長賞）
2014年：金賞（高松市教育長賞）
2015年：金賞（日本放送協会賞）
2016年：金賞（文部科学大臣賞）
2017年：金賞（日本放送協会賞）
2018年：金賞（文部科学大臣賞）
2019年：金賞（10大会連続）
2020年：大会中止
2021年：金賞（岡山市教育長賞）

※2006年はAグループ、2007年・2008年はBグループに出場。2009年より大学部門は一本化。2013年より「大学ユース合唱の部」となる。

新月会

関西学院グリークラブのOB団体として、新月会が組織されています。

参考文献

山中源也『関西学院グリークラブ八十年史』関西学院グリークラブ部史発行委員会、1981年

外部リンク

関西学院グリークラブ
関西学院大学
新月会公式ウェブサイト

関西学院グリークラブは、その長い歴史と伝統の中で、数多くの音楽家や経済界の人材を輩出してきました。その活動は、日本の合唱文化に大きな影響を与え続けています。

もう一度検索