福池型補給艦

福池型補給艦の概要

福池型補給艦（英称：Fuchi class replenishment oilers）は、中国人民解放軍海軍の補給艦に与えられたNATOコードネームです。この艦級は、903型総合補給艦と呼ばれています。

1. 来歴

福池型は、1970年代末に建造された福清型補給艦に基づいています。当初、福清型は洋上補給艦の運用を開始し、特に1980年の大陸間弾道ミサイル発射実験において観測艦隊として南太平洋に派遣されました。この活動は、外洋作戦の経験を積むためのものでした。

その後、1980年代に新たに2隻が建造されましたが、早々に退役。1987年には1隻がパキスタン海軍に売却され、1989年にはもう1隻が商船に転用されました。1996年、ウクライナ製のタンカーが改装され、「南倉」として就役しましたが、その速度から艦隊随伴には限界がありました。

一方、上海市の滬東造船廠では、タイ王国海軍向けの補給艦「シミラン」が建造され、これを基に人民解放軍海軍向けの補給艦も設計されました。1999年から始まったこの計画は、2002年から順次進められ、2005年には2隻が就役しました。

これらの艦は2008年からのソマリア沖での海賊対策にも参加し、その経験を通じて洋上補給能力の強化が求められ、2013年以降に改良型903A型が追加建造されました。

2. 設計

福池型の船体設計は、「シミラン」を基にしており、艦橋と煙突を分けた上部構造や長船首楼型の船型が特徴です。後部の船楼は延長され、艦内容積が増加し、艦尾の形状にも変化が見られます。また、舷窓の設置があることも異なる点です。

動力にはV型16気筒のディーゼルエンジンが2基搭載され、可変ピッチプロペラで推進されます。この船体設計は、他の艦艇にも応用されています。

3. 補給能力

福池型は、洋上での資材移送が可能で、前方と後方にそれぞれ異なる機能を持つ補給ポストを備えています。特に、艦尾からの縦曳き給油も行える点が特徴です。合計で11,400トンの物資を搭載でき、燃料や航空燃料、真水、潤滑油、さらにはドライカーゴも含まれます。

4. 自衛機能

武装としては、計4基の37mm連装機銃が艦橋とヘリコプター格納庫に装備されています。また、ソマリア沖海賊対策に参加した艦は、遠隔操作式の30mm機銃も搭載しています。

さらに、航行及び対空対水上捜索用のレーダーも装備されている可能性があります。これにより、様々な海上状況に対応する能力が備わっています。

このように福池型補給艦は、中国人民解放軍海軍の洋上補給能力を強化するための重要な艦艇であり、今後もその役割が期待されています。

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