福添隆二

福添 隆二（ふくぞえ たかじ）氏は、日本の造園分野において長きにわたり公務員として貢献した人物です。多岐にわたる役職を歴任し、特に公園緑地や都市計画の分野で重要な役割を果たしました。

そのキャリアは、まず奈良県土木部計画課での勤務から始まりました。その後、国の主要な政策立案に関わる経済企画庁、国土利用計画等を担う国土庁、そして沖縄振興を担当する沖縄開発庁といった中央官庁での勤務を経験し、行政の広範な領域における知識と視点を培いました。

中央官庁での経験を経て、建設省に移籍しました。建設省では、九州、中部、東北の各地方建設局で土木行政に携わりました。特に公園緑地分野での貢献が顕著であり、沖縄で開催された海洋博覧会に関連する記念公園の調整官を務めた後、建設省都市局公園緑地課の課長補佐として、国の公園緑地政策の企画・推進という中心的な業務に深く関与しました。さらに、住宅・都市整備公団（現在の都市再生機構等）の公園緑地部公園建設課長として、大規模な公園整備事業の具体的な計画策定や執行においても重要な役割を担いました。これらの経験を通じて、福添氏は政策立案から現場での事業実施まで、公園緑地行政のあらゆる側面に精通しました。

中央官庁や公団での要職を歴任した後、福島県都市計画課長として地方行政にも貢献しました。ここでは、地域の特性を踏まえた都市計画の策定・推進に尽力しました。1992年からは土木部参事も兼任し、県の都市計画および土木行政全般において、より広い範囲で責任ある立場を担いました。そして、1993年に建設省を退官しました。

公務員としてのキャリアを終えた後も、福添氏は造園・緑化分野への情熱を持ち続け、その専門知識を社会に還元しました。都市緑化技術開発機構においては、参事、続いて企画部長として、都市の緑化に関する新たな技術の研究開発やその普及活動の推進に尽力しました。これにより、持続可能な都市環境の実現に向けた技術的基盤の強化に貢献しました。さらに、1996年11月には、緑の風景計画という民間の組織の代表取締役会長に就任し、企業活動を通じて日本の緑豊かな景観づくりに貢献しました。

福添氏は、その高度な専門性を示す複数の資格を有しています。登録ランドスケープアーキテクト（RLA）は、ランドスケープ分野の専門家としての知識と技術を証明するものであり、技術士建設部門（都市及び地方計画）は、都市計画や地方計画における応用能力を示す国家資格です。加えて、土地区画整理士、測量士の資格も持ち合わせており、都市開発や基盤整備に関する幅広い知識と技術を備えていたことがうかがえます。これらの長年にわたる経験と専門知識、そして造園行政への顕著な貢献が高く評価され、2009年には第31回日本公園緑地協会北村賞を受賞しました。北村賞は、日本の公園緑地行政の発展に特に顕著な功績があった個人に贈られる権威ある賞であり、福添氏の業績が社会的に極めて高く評価されたことを示すものです。

福添隆二氏は、国の主要官庁、地方自治体、公団、そして民間企業という多様な立場から、造園、都市計画、そして緑化行政に深く関与し、その豊富な経験と専門知識を活かして日本の都市環境整備と緑豊かな空間の創出に多大な貢献を果たした、造園分野における重要な人物であると言えます。

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