福田正己

福田正己：極地研究をリードする地質学者

福田正己氏は、1944年埼玉県浦和市（現さいたま市）に生まれ、日本の地質学、特に凍土研究において世界的に著名な学者です。北海道大学と福山市立大学の名誉教授の称号を持つ彼の経歴は、学究への飽くなき探究心と、極地研究への情熱を物語っています。

東京大学理学部を卒業後、同大学大学院博士課程を修了。1981年には「凍結時の土中の結合した熱と水の流れに関する実験的研究」という題目で博士号を取得しました。この研究は、凍土の物理的特性を解明する上で重要な貢献を果たし、その後の氏の研究人生の礎となりました。

1974年に北海道大学低温科学研究所へ助手として着任後、助教授、教授を経て、2007年に定年退官、名誉教授となりました。北海道大学在籍中は、低温科学研究所という極地研究に最適な環境で、凍土に関する研究を精力的に行い、多くの成果を上げてきました。その間、1995年から1997年にかけては東京大学理学系研究科で流動講座の併任教授を務め、1999年から2004年には放送大学客員教授として、より幅広い層への教育にも尽力しました。

定年後も、その研究意欲は衰えることなく、2007年から2010年にかけてはアラスカ大学国際北極圏研究センター教授として、国際的な研究活動に従事しました。その後、2011年から2015年までは福山市立大学教授を務め、再び教育の場に戻り、後進の育成に貢献しました。現在も、名誉教授として大学に貢献しています。

福田氏の研究活動は、単なる学問にとどまりません。彼は、数多くの著書や論文を発表し、一般の人々にも極地研究の重要性を伝えてきました。代表的な著書として、『極北シベリア』（岩波新書）や『マンモス 絶滅の謎からクローン化まで』（誠文堂新光社）が挙げられます。特に『マンモス 絶滅の謎からクローン化まで』は、2017年に厚生労働省児童福祉文化賞出版部門を受賞するなど、高い評価を得ています。

これらの著書は、専門的な知識を分かりやすく解説したものであり、一般読者にも極地の魅力や、地球環境問題への関心を高めるきっかけを与えてきました。また、共著・共編著として発表された『寒冷地域の自然環境』『基礎雪氷学講座』『北海道・自然のなりたち』『極地の科学 地球環境センサーからの警告』『流体的地球像』『日本列島の地球科学 増補・改訂』『生物集団と地球環境』なども、地質学や極地研究の分野において重要な参考文献となっています。

福田正己氏の研究と教育活動は、日本の地質学、そして極地研究の発展に大きく貢献し、これからもその功績は長く語り継がれていくことでしょう。彼の研究は、地球環境問題への理解を深める上で、重要な役割を果たしていると言えるでしょう。

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