福田照男
福田照男（ふくだ てるお、1957年6月2日生まれ）は、兵庫県出身の元オートバイロードレースライダーです。学生時代にオートバイの魅力に惹きつけられ、マシンのポテンシャルを最大限に引き出す走りを追求するため、鈴鹿サーキットを走り始めました。
彼のレースキャリアは、1980年の鈴鹿サンデーオートバイレースで幕を開けました。同年7月には、78台が出場した鈴鹿4時間耐久レースに、京都を拠点とするチーム・フライングドルフィンからヤマハTZ250で参戦し、見事優勝を飾ります。また、ノービス250ccクラスにも同じくヤマハTZ250で参戦しました。1981年には国際B級へと昇格し、350ccクラスで鈴鹿において2度の優勝を果たします。
そして1982年、前年の活躍が評価され、MFJライセンス区分の国際A級に昇格。チーム・フライングドルフィンよりA級250ccクラスへ参戦し、シーズン中に3回の優勝を挙げる圧倒的な強さを見せ、念願の全日本ロードレース選手権250ccクラスチャンピオンのタイトルを獲得しました。
全日本チャンピオンとしてその勢いを駆り、福田は1983年6月から世界グランプリ（WGP）250ccクラスへの挑戦を開始します。参戦体制は個人チームの純プライベーターであり、マシンは国内でのレースと同様に市販レーサーのヤマハTZ250でした。ヨーロッパでの活動拠点は、アライヘルメット・ヨーロッパ社長の紹介により、オランダ・アムステルダム近郊のアムスフートに置かれたサイドカー・モトクロス世界チャンピオンのワークショップの一部を間借りするというものでした。WGP参戦4戦目となったイギリスGP（シルバーストン・サーキット）では、トップ争いに絡む活躍を見せるものの、最終ラップでマシントラブルに見舞われ7位でチェッカーを受けることとなりました。しかし、これはキャリア初のWGPポイント獲得となるレースでした。WGPの開催がない週には、ベルギー選手権などヨーロッパ各地のナショナルレースに積極的に参戦し、現地のコースや路面特性への理解を深め、経験を積んでいきました。
1984年からは、メカニックを吉村誠也氏が務めることになります。同年6月、アッセンで行われたオランダGPでは、自己最高位となる6位でフィニッシュしました。シーズン最終戦のサンマリノGPでは、クリスチャン・サロン、カルロス・ラバードといった強豪を含むトップ集団と激しいバトルを展開。最終ラップで3位を走行中に、右コーナーの進入でイン側からオーバースピードで進入してきた他車との接触により高速クラッシュに見舞われ、レースを終えるとともに負傷を負うアクシデントに見舞われます。しかし、この年の奮闘と才能がホンダワークス（HRC）の目に留まり、契約ライダーとしてのオファーを受けることとなります。怪我で入院中の福田の元にオファーが届き、契約が成立しました。
1985年1月、ホンダのマシンテストに参加するため退院するも、アメリカ・カリフォルニアでのテスト中に転倒。コース脇のガードレールに足から突っ込む激しいクラッシュに見舞われ、両足の骨折に加え背骨の圧迫骨折という重傷を負ってしまいます。この怪我により、福田は以後約1年に及ぶ長期入院と過酷なリハビリ生活を余儀なくされ、サーキットから姿を消すことになりました。
福田が療養している間、1985年シーズン夏にはWGP500ccクラスで活躍した片山敬済氏が現役を退き、レーシングチームマネージャーとして活動することを表明します。片山氏が率いる「レーシングチーム・カタヤマ（RTK）」は福田の復帰をチームのエースとして待ち望み、1986年のWGP250ccクラス参戦に向けて、福田のためにHRCはワークスマシンNSR250を供給することを決定しました。しかし、重傷を負った足の回復は遅れ、受傷から1年以上を経ても開幕戦への出場が不可能な状況でした。ライダー不在となったNSR250は、まず全日本選手権で喜多祥介氏が使用し、後にヨーロッパへ渡ってRTKとシーズン途中より契約したベテラン、バージニオ・フェラーリがライドすることになります。一方、福田は国内でのテスト走行を試みるも、特に足首の回復が遅れ、ワークスマシンを完全にコントロールできるレベルに達していないことに苦悩し、チーム関係者に現役引退の意向を伝えます。そして同年7月、正式に現役からの引退を表明しました。
引退後、福田は1987年よりレーシングコーディネーターやモータースポーツジャーナリストとして活動を開始します。グランプリ専門誌『GRAND PRIX ILLUSTRATED』では編集顧問を務め、またテレビ東京系（テレビ大阪製作）で放映されていたWGP中継では解説者として登場。共に解説を務めた山田純氏や実況の千年屋俊幸アナウンサーと共に、グランプリレースの魅力を視聴者に届けました。このほか、サーキットでのスポーツ走行のコーチや、ライディング技術に関する著作の執筆、ビデオマガジン『RIDE ON』への出演など、多岐にわたる活動を展開しました。さらに、日本モーターサイクルスポーツ協会（JMF）公認のもと、サーキット走行テクニックセミナーを開催するなど、モータースポーツの普及・発展にも貢献しました。
1990年の鈴鹿8時間耐久ロードレースでは、タレントの清水国明氏が7年間挑戦を続けてきた8耐に、國武舞レーシングからモリワキ・ホンダZero-VX7に乗り、ペアライダーとして限定復帰。予選で清水氏が鎖骨を骨折するというアクシデントに見舞われるも、福田は決勝を走り切り48位で完走を果たすなど、清水氏の「引退レース」をサポートし、有終の美を飾る手助けをしました。
2000年代以降は、オートバイ関連の表舞台からは退いているものの、現在も、かつて所属したチーム・フライングドルフィン（カスノモーターサイクル）のイベントに姿を見せることがあります。
主な著作に『福田照男のレーシングテクニック』（グランプリ出版、1989年）、『チャンピオンライダー考現学』（グランプリ出版、1994年）があります。
彼のレースキャリアは、1980年の鈴鹿サンデーオートバイレースで幕を開けました。同年7月には、78台が出場した鈴鹿4時間耐久レースに、京都を拠点とするチーム・フライングドルフィンからヤマハTZ250で参戦し、見事優勝を飾ります。また、ノービス250ccクラスにも同じくヤマハTZ250で参戦しました。1981年には国際B級へと昇格し、350ccクラスで鈴鹿において2度の優勝を果たします。
そして1982年、前年の活躍が評価され、MFJライセンス区分の国際A級に昇格。チーム・フライングドルフィンよりA級250ccクラスへ参戦し、シーズン中に3回の優勝を挙げる圧倒的な強さを見せ、念願の全日本ロードレース選手権250ccクラスチャンピオンのタイトルを獲得しました。
全日本チャンピオンとしてその勢いを駆り、福田は1983年6月から世界グランプリ（WGP）250ccクラスへの挑戦を開始します。参戦体制は個人チームの純プライベーターであり、マシンは国内でのレースと同様に市販レーサーのヤマハTZ250でした。ヨーロッパでの活動拠点は、アライヘルメット・ヨーロッパ社長の紹介により、オランダ・アムステルダム近郊のアムスフートに置かれたサイドカー・モトクロス世界チャンピオンのワークショップの一部を間借りするというものでした。WGP参戦4戦目となったイギリスGP（シルバーストン・サーキット）では、トップ争いに絡む活躍を見せるものの、最終ラップでマシントラブルに見舞われ7位でチェッカーを受けることとなりました。しかし、これはキャリア初のWGPポイント獲得となるレースでした。WGPの開催がない週には、ベルギー選手権などヨーロッパ各地のナショナルレースに積極的に参戦し、現地のコースや路面特性への理解を深め、経験を積んでいきました。
1984年からは、メカニックを吉村誠也氏が務めることになります。同年6月、アッセンで行われたオランダGPでは、自己最高位となる6位でフィニッシュしました。シーズン最終戦のサンマリノGPでは、クリスチャン・サロン、カルロス・ラバードといった強豪を含むトップ集団と激しいバトルを展開。最終ラップで3位を走行中に、右コーナーの進入でイン側からオーバースピードで進入してきた他車との接触により高速クラッシュに見舞われ、レースを終えるとともに負傷を負うアクシデントに見舞われます。しかし、この年の奮闘と才能がホンダワークス（HRC）の目に留まり、契約ライダーとしてのオファーを受けることとなります。怪我で入院中の福田の元にオファーが届き、契約が成立しました。
1985年1月、ホンダのマシンテストに参加するため退院するも、アメリカ・カリフォルニアでのテスト中に転倒。コース脇のガードレールに足から突っ込む激しいクラッシュに見舞われ、両足の骨折に加え背骨の圧迫骨折という重傷を負ってしまいます。この怪我により、福田は以後約1年に及ぶ長期入院と過酷なリハビリ生活を余儀なくされ、サーキットから姿を消すことになりました。
福田が療養している間、1985年シーズン夏にはWGP500ccクラスで活躍した片山敬済氏が現役を退き、レーシングチームマネージャーとして活動することを表明します。片山氏が率いる「レーシングチーム・カタヤマ（RTK）」は福田の復帰をチームのエースとして待ち望み、1986年のWGP250ccクラス参戦に向けて、福田のためにHRCはワークスマシンNSR250を供給することを決定しました。しかし、重傷を負った足の回復は遅れ、受傷から1年以上を経ても開幕戦への出場が不可能な状況でした。ライダー不在となったNSR250は、まず全日本選手権で喜多祥介氏が使用し、後にヨーロッパへ渡ってRTKとシーズン途中より契約したベテラン、バージニオ・フェラーリがライドすることになります。一方、福田は国内でのテスト走行を試みるも、特に足首の回復が遅れ、ワークスマシンを完全にコントロールできるレベルに達していないことに苦悩し、チーム関係者に現役引退の意向を伝えます。そして同年7月、正式に現役からの引退を表明しました。
引退後、福田は1987年よりレーシングコーディネーターやモータースポーツジャーナリストとして活動を開始します。グランプリ専門誌『GRAND PRIX ILLUSTRATED』では編集顧問を務め、またテレビ東京系（テレビ大阪製作）で放映されていたWGP中継では解説者として登場。共に解説を務めた山田純氏や実況の千年屋俊幸アナウンサーと共に、グランプリレースの魅力を視聴者に届けました。このほか、サーキットでのスポーツ走行のコーチや、ライディング技術に関する著作の執筆、ビデオマガジン『RIDE ON』への出演など、多岐にわたる活動を展開しました。さらに、日本モーターサイクルスポーツ協会（JMF）公認のもと、サーキット走行テクニックセミナーを開催するなど、モータースポーツの普及・発展にも貢献しました。
1990年の鈴鹿8時間耐久ロードレースでは、タレントの清水国明氏が7年間挑戦を続けてきた8耐に、國武舞レーシングからモリワキ・ホンダZero-VX7に乗り、ペアライダーとして限定復帰。予選で清水氏が鎖骨を骨折するというアクシデントに見舞われるも、福田は決勝を走り切り48位で完走を果たすなど、清水氏の「引退レース」をサポートし、有終の美を飾る手助けをしました。
2000年代以降は、オートバイ関連の表舞台からは退いているものの、現在も、かつて所属したチーム・フライングドルフィン（カスノモーターサイクル）のイベントに姿を見せることがあります。
主な著作に『福田照男のレーシングテクニック』（グランプリ出版、1989年）、『チャンピオンライダー考現学』（グランプリ出版、1994年）があります。
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