福田蘭童

福田蘭童：才能とスキャンダルに彩られた音楽家の生涯

福田蘭童（ふくだ らんどう、1905年5月15日 - 1976年10月8日）は、昭和期に活躍した日本の音楽家であり、尺八奏者、随筆家として知られています。本名は石渡幸彦。洋画家の青木繁と福田たねの間に生まれ、芸術的な才能を受け継ぎました。

生い立ちと音楽への道

茨城県筑西市で生まれた福田蘭童は、幼少期に両親と離れ、母方の祖父のもとで育ちました。13歳で上京し、尺八の道へ。琴古流尺八を学び、関口月童、水野呂童に師事しました。また、ピアノやヴァイオリン、フルートも習得し、音楽家としての基礎を築きました。

音楽家としての活躍

尺八奏者として、ラジオ放送や演奏会で活躍する傍ら、作曲家としても才能を発揮しました。NHKラジオ番組「新諸国物語・笛吹童子」のテーマ曲や劇中曲を手がけるなど、ラジオ草創期においてその才能を発揮しました。また、『白河小唄』『深川音頭』など、数々の楽曲を作曲しました。

スキャンダルと転落

音楽家として活躍する一方で、福田蘭童は素行の悪さでも知られていました。1934年には、賭博容疑で検挙されたのをきっかけに、過去の結婚詐欺事件が明るみに出ました。複数の女性を騙し、金銭を詐取していたことが発覚し、逮捕・起訴されました。懲役10ヶ月の実刑判決を受け、服役しています。

さらに、出所後の1935年には、映画撮影中に女優への強姦事件を起こし、世間の非難を浴びました。この事件の責任を取り、妻と離婚し、被害者と再婚するという事態に発展しました。

戦後の活動と晩年

スキャンダルにより、一時音楽活動から遠ざかっていましたが、戦後に活動を再開しました。ラジオ番組の音楽を手がけるなど、再び音楽家として活躍しました。また、趣味人としても知られ、料理や釣りに造詣が深く、『蘭童捕物帳』『世界つり歩き』などの著書を執筆しました。自ら釣った魚を調理して友人に振る舞うために、プライベートサロン「三漁洞」を開設。このサロンは、後に息子の石橋エータローが引き継ぎ、居酒屋として現在も営業されています。

多くの文化人と交流があり、志賀直哉、谷崎潤一郎、菊池寛、川端康成など、著名な作家や文化人との親交がありました。

1976年6月に妻の弘子を亡くし、その4ヶ月後、脳卒中により71歳で亡くなりました。

まとめ

福田蘭童は、音楽家としての才能を発揮する一方で、数々のスキャンダルを起こし、世間を騒がせた人物でした。その波瀾万丈な人生は、多くの人々に語り継がれています。2023年には、筑西市にある青木繁の碑の隣に、「月下弄笛」と刻まれた石碑が建立されました。

主な著書

蘭童捕物帳
新日本膝栗毛 : 虚無僧道中記
風流點々記
海千山千
蘭童風流譚
うわばみ行脚
ぬらくら夜話
うわばみの舌先
蘭童作家観
いろはにほへど : 随筆
蝸牛道中記
井の外の蛙
おんな風土記
この目で見た赤い国の恋
蘭童つり自伝
世界つり歩き
釣った魚はこうして料理
風流釣れ釣れ草
わが釣魚伝
サオをかついで世界漫遊 : 蘭童つり自伝
珍道中膝栗毛 : 蘭童青春放浪記 上下
うわばみ行脚 : 続・珍道中膝栗毛
志賀先生の台所 : 随筆
画家の後裔
福田蘭童の釣った魚はこうして料理

主な作曲作品

白河小唄
深川音頭
月草の夢
椿咲く村
月光弄笛
* 夕暮幻想曲

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