笛吹童子

笛吹童子（ふえふきどうじ）

概要

『笛吹童子』は、北村寿夫の脚本によるラジオドラマで、1953年から翌年にかけてNHKにて放送されました。これは新諸国物語の第二弾として、毎週月曜から金曜まで15分間の枠で、多くのリスナーに親しまれました。主題歌もこの作品の中で重要な位置を占めており、作詞を北村が、作曲を福田蘭童が手掛けています。本作は、その年に小説としても発表され、その後何度も映画化やテレビドラマ化され、文化の中で長く生き続けています。

ストーリーの背景

ストーリーは室町時代、応仁の乱の混乱した時代に設定されています。舞台は丹波国、満月城。この城の主である丹羽修理亮は、野武士たちに攻められ、ついに城を失います。彼の二人の息子、武芸に優れた兄・萩丸と、武士の道を嫌う弟・菊丸が様々な運命を辿ることになります。萩丸は勇敢さで戦おうとしますが、菊丸は「戦いを嫌だ」と言い、都に移住して笛作りの道を選びます。菊丸は笛の名手であり、その音色で人々の心を癒します。

人物とキャスト

主なキャストには、来宮良子、黒沢良、江田公一郎、山田清などが名を連ねています。また、演出は山口淳が担当しました。特に菊丸役の中村錦之助は、本作が初主演作となり、その後のキャリアに大きな影響を及ぼしました。彼はこの作品をきっかけに、東千代之介と共にスター街道を歩むことになります。

映画とテレビドラマ

本作は映画としても展開され、1954年に『新諸国物語 笛吹童子』として公開されました。この映画は、3部作で構成されており、各部で異なるタイトルが付けられ、多くの観客から支持を受けました。その後も、1960年及び1972年にはテレビドラマとして再製作され、特撮を多く取り入れたバージョンも存在します。当時の技術と魅力を豊富に活かし、若い世代に向けたストーリーが展開されました。

文化的影響

『笛吹童子』は、ただの娯楽作品に留まらず、特に子どもたちに強く支持されることになります。この作品は、当時の映画館文化を活性化し、未来の観客を育てる重要な役割を果たしました。また、長編作品の添え物として製作された数々の中編時代劇は、観客の心を掴み、映画業界全体に影響を及ぼしました。

まとめ

『笛吹童子』は、放送開始から70年近くを経てなお、多くの人々に愛され続けている作品です。歴史的背景や人物描写、音楽の力により、当時の人々の心に深く刻まれました。様々なメディアを通じて伝承され、今なお新たな世代に語り継がれています。この作品が生まれたことで、映画やテレビが持つ力がいかに大きいかを示す一例とも言えるでしょう。

もう一度検索