私は風

私は風

「私は風」は、日本のロックバンド、カルメン・マキ&OZが1978年8月1日に3作目のシングルとして発表した楽曲です。Kitty Recordsより規格品番DKQ-1040として発売されました。この曲は彼らの代表曲の一つとして広く知られています。

楽曲の背景と特徴

元々この楽曲は、1975年に発表されたカルメン・マキ&OZのファーストアルバム『カルメン・マキ&OZ』に12分近い長尺バージョンで収録されていました。しかし、シングル化にあたり、よりコンパクトなショートバージョンとして再構成されました。

楽曲の構成は、まずブリティッシュ・ロックの影響を感じさせる力強いギターリフで幕を開けます。一転して、哀愁を帯びたピアノの旋律をバックに、カルメン・マキの情感豊かなヴォーカルが紡ぎ出されるパートへと移行します。ハードなサウンドと叙情的なメロディが見事に融合した構成が特徴的です。

影響力と評価

「私は風」は、特に日本の女性ロックシンガーにとって重要な楽曲とされています。多くの後進アーティストたちがこの曲から影響を受けたと語っており、ライブなどでカバーされる機会も非常に多い、まさに「定番曲」としての地位を確立しています。その普遍的な魅力と音楽性の高さは、時代を超えて多くのミュージシャンやリスナーに評価されています。

また、この楽曲は1979年公開の沢田研二主演映画『太陽を盗んだ男』の劇中歌としても使用され、映画の内容と相まってその印象をより強く残しました。

主なカバーバージョン

「私は風」は、その人気の高さから、様々なジャンルのアーティストによってカバーされています。代表的な例としては、歌手の中森明菜や、ロックバンドSHOW-YAのヴォーカリストである寺田恵子がこの曲をカバーしています。

特に寺田恵子はカルメン・マキを深く敬愛しており、カルメン・マキの楽曲だけを集めたカバーアルバムを発表するほどです。寺田はカルメン・マキの存在が自身の音楽活動、特にSHOW-YAへの加入に決定的な影響を与えたと公言しており、「私にとってマキさんは神ですよ。だから、マキさんがいなかったら多分私はSHOW-YAには入ってない」と語っています。後に、女性アーティストのみが出演するロックフェスティバルである「NAONのYAON」でカルメン・マキとの共演が実現した際には、寺田がバックコーラスを務めながらこの「私は風」を披露し、ファンを感動させました。

また、ヘヴィメタルミュージシャンのデーモン閣下もこの曲をカバーしています。特筆すべきは、SHOW-YAの代表曲「私は嵐」と「私は風」を組み合わせ、「私は風〜私は嵐」というメドレー形式の楽曲として再構築したことです。このカバーは、デーモン閣下のカバーアルバム『GIRLS' ROCK 〜Tiara〜』に収録されています。

シングル収録曲

シングル「私は風」には、以下の2曲が収録されています。

私は風 (3分38秒)
作詞：Maki Annette Lovelace
作曲：春日博文
編曲：カルメン・マキ&OZ
とりあえず… (Rock'n Roll) (5分25秒)
作詞：加治木剛
作曲：春日博文
編曲：カルメン・マキ&OZ

このシングルは、「私は風」の持つ普遍的な魅力と、カルメン・マキ&OZの多様な音楽性を示すカップリング曲によって、彼らのキャリアにおける重要な作品の一つとなっています。

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