私を愛したスパイ (曲)

「私を愛したスパイ」（原題：Nobody Does It Better）は、1977年に公開された映画『007 私を愛したスパイ』の主題歌として、アメリカの歌手カーリー・サイモンが発表した楽曲です。この曲は映画のサウンドトラック・アルバムに収録されましたが、サイモン自身のスタジオ・アルバムには収録されていません。

制作の背景

作詞・作曲はマーヴィン・ハムリッシュとキャロル・ベイヤー・セイガーが担当しました。元々は映画のために作られた曲ではなく、サイモンの過去のアルバムをプロデュースしたリチャード・ペリーの提案により、サイモンの歌唱で映画主題歌として使用されることになりました。それに伴い、歌詞が映画の内容に合わせて推敲されています。当初はダスティ・スプリングフィールドへの提供も検討されましたが、スプリングフィールドが拒否したという経緯があります。

世界的な反響

アメリカでは、1977年10月22日付のBillboard Hot 100で2位を記録し、『ビルボード』のアダルト・コンテンポラリー・チャートでは「うつろな愛」以来、4年半ぶりの1位を獲得しました。全英シングルチャートでは自身3年ぶりのトップ100入りとなり、最高7位を記録するなど、世界中で大ヒットしました。

高い評価

第20回グラミー賞では、最優秀楽曲賞にノミネートされたほか、サイモン自身も最優秀女性ポップ・ボーカル・パフォーマンス賞にノミネートされました。さらに、ゴールデングローブ賞 主題歌賞とアカデミー歌曲賞にもノミネートされるなど、数々の賞レースで高い評価を得ています。また、アメリカン・フィルム・インスティテュートが選出した『アメリカ映画主題歌ベスト100』では67位にランクインしました。

関係者からの評価

長年ジェームズ・ボンド役を演じたロジャー・ムーアは、2008年のインタビューで本作を007シリーズの主題歌の最高傑作として挙げています。彼は「ボンドというキャラクターのすべてを体現した素晴らしい歌だ」とコメントしています。また、『ローリング・ストーン』誌が2012年に行った企画「The Top 10 James Bond Theme Songs」では3位にランクインしました。

多彩なアーティストによるカバー

「私を愛したスパイ」は、数多くのアーティストによってカバーされています。

トゥーツ・シールマンス - アルバム『Slow Motion』（1978年）に収録
松武秀樹 - 007シリーズの音楽を取り上げたアルバム『デジタル・ムーン』（1979年）に収録
デイヴィッド・サンボーン - アルバム『パールズ』（1995年）に、オリータ・アダムスをフィーチャーしたカバーを収録
ミー・ファースト・アンド・ザ・ギミー・ギミーズ - アルバム『Have a Ball』（1997年）に収録
デヴィッド・アーノルド - 007シリーズの主題歌を取り上げた企画アルバム『Shaken and Stirred』（1997年）に、エイミー・マンをフィーチャーしたカバーを収録
スウィングル・シンガーズ - アルバム『Screen Tested』（1998年）収録曲「'James Bond' Medley」の後半で取り上げ

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