秋元興朝

秋元興朝（あきもと　おきとも、1857年5月26日-1917年4月23日）は、明治から大正時代を駆け抜けた華族にして外交官である。正三位に叙せられ、蔚堂と号した。

興朝は、下野高徳藩主となる戸田忠至の次男として生まれた。兄に戸田忠綱がいた。幼名は和三郎。父は間瀬和三郎と名乗り、宇都宮藩の家老として戸田家に仕えていた。

明治4年（1871年）、旧館林藩主秋元礼朝の養子となり、従五位に叙せられた。翌日に元服し、興朝と名乗る。同年、礼朝の隠居に伴い、家督を相続した。

外交官としての道を歩み始め、明治16年（1883年）1月には外務省書記生としてフランスへ赴任。パリ公使館に勤務するも、間もなく職を辞し、欧州各地を遊学した。明治17年（1884年）7月8日には子爵に叙爵されている。明治18年（1885年）12月、帰国した。

帰国後は、華族組合の一員として北海道の土地開発事業にも関与した。明治22年（1889年）、三条実美らと共に北海道庁から5万町歩の土地貸下げを受け、華族組合雨竜農場を設立。米式の大農場経営による開墾を目指したが、明治24年（1891年）に三条が死去すると求心力を失い、明治26年（1893年）に解散した。

その後、外務官僚として活躍。明治25年（1892年）12月には弁理公使に、明治28年（1895年）3月には特命全権公使に昇進した。しかし、健康上の理由から任地に赴任せず、職を辞した。

明治33年（1900年）、伊藤博文が結成した立憲政友会に参加し、東京支部長を務めた。教育にも関心を持ち、東洋商業学校の校長も歴任した。東京駿河台の邸宅の他に、旧領地館林にも別邸を構え、城沼の新田開墾事業にも尽力した。

私生活では、先妻に南部利剛の娘宗子、後妻に山内豊信の娘八重子を迎え、娘には光子がいた。大正6年（1917年）、61歳で死去。遺蹟は、娘婿である毛利元功の三男春朝が継承した。

文化活動にも積極的に参加し、明治35年（1902年）には日下会を創設して相撲道の発展に貢献。常陸山後援会「常陸山会」の会長も務めた。

また、京都の地誌『旧都巡遊記稿』の著者としても知られる。明治28年（1895年）に京都を訪れたことをきっかけに、深く京都に魅せられ、頻繁に京都に通い、洛中洛外の神社仏閣や名所旧跡を調査。その記録をまとめたのが『旧都巡遊記稿』である。生前には出版されなかったが、死後翌年の大正7年（1918年）、春朝によって刊行された。明治期の貴重な情報を収録しており、今日でも京都の歴史を学ぶ上で重要な資料となっている。同書は『新撰京都叢書』第4巻（1985年臨川書店）に収録されている。

墓所は谷中霊園にある。

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