秋元英一

秋元 英一（あきもと えいいち）氏は、1943年に東京都で生まれた日本の経済学者です。専門分野はアメリカ経済史であり、特に20世紀前半のアメリカ社会と経済の変動に関する研究で重要な業績を残しています。

経歴

秋元氏は東京大学に進学し、経済学部で学びました。1966年に同学部を卒業した後、同大学院経済学研究科に進み、1968年に修士課程を修了しました。その後も博士課程で研究を続け、1972年に単位を取得して退学しています。研究生活の傍ら、国内外で教育活動に携わりました。

キャリアの初期は関東学院大学で教鞭を執り、1972年から1975年まで経済学部の講師を務め、続いて1975年から1979年まで助教授として教育・研究に貢献しました。

1979年からは千葉大学に移り、まず人文学部の助教授として勤務しました（1979年-1981年）。その後、法経学部に異動し、1981年から1987年まで同助教授、そして1987年からは教授として2008年までの長きにわたり教鞭を執りました。この間、1989年には東京大学より経済学博士号を取得しています。また、教育・研究活動においては国際的な視点も重視しており、ノースカロライナ大学チャペルヒル校やウィスコンシン大学マディソン校など、アメリカの著名な大学で在外研究を行いました。

2008年に千葉大学を退職し、同大学の名誉教授の称号を授与されました。その後も教育への情熱は衰えず、帝京平成大学地域医療学部の教授として再び教壇に立ちました。

主な著作と研究分野

秋元氏の研究は、アメリカ経済史における重要なテーマを深く掘り下げています。その成果は多くの著作として発表されています。

単著としては、まず『ニューディールとアメリカ資本主義――民衆運動の観点から』（東京大学出版会、1989年）が挙げられます。これは、世界恐慌後のフランクリン・D・ルーズベルト政権下で実施されたニューディール政策を、従来の経済・政治史的な分析に加え、民衆運動の視点から多角的に分析した画期的な著作です。

続いて、『アメリカ経済の歴史　1492－1993年』（東京大学出版会、1995年）は、コロンブスによる新大陸到達から20世紀末まで、およそ500年にわたる広範なアメリカ経済の歩みを体系的に概説したものです。歴史的な流れを追うことで、アメリカ経済の構造的特徴とその変遷を明らかにしています。

また、『世界大恐慌――1929年に何がおこったか』（講談社［選書メチエ］、1999年／講談社学術文庫、2009年）は、1929年に発生し世界中に波及した未曽有の経済危機である大恐慌に焦点を当てたものです。その原因、進行、影響を平易かつ詳細に解説しており、広く読まれました。

共著では、菅英輝氏と共に執筆した『アメリカ20世紀史』（東京大学出版会、2003年）があります。これは、20世紀のアメリカ社会の歴史を、経済的な側面も踏まえつつ包括的に叙述したものです。

編著としては、『グローバリゼーションと国民経済の選択』（東京大学出版会、2001年）があり、国際的な経済統合が進む現代における国民経済のあり方について、多様な視点から論じています。

共編著としては、廣田功氏、藤井隆至氏との共編による『市場と地域――歴史の視点から』（日本経済評論社、1993年）や、小塩和人氏との共編による『豊かさと環境』（ミネルヴァ書房、2006年）などがあります。これらの著作は、経済活動と地域社会の関係や、経済発展と環境問題といった、現代社会が直面する複合的な課題を歴史的な視点から考察するものです。

秋元氏の研究は、アメリカ経済史という専門分野において、実証的な分析と歴史的な考察を組み合わせることで、その構造や変動要因を深く理解することを目指しています。特に、社会運動や民衆の視点を取り入れた分析は、経済史研究に新たな視点をもたらしました。また、長年の教育活動を通じて、多くの後進の研究者や学生の育成に尽力しました。

関連項目

大塚久雄

外部リンク

秋元英一website
* 秋元ゼミナール

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