秋山定輔

秋山定輔

秋山定輔は、1868年に岡山県で生まれた政治家、実業家です。東京帝国大学を卒業後、会計検査院に勤務しましたが、ジャーナリズムの世界に転身し、1893年に『二六新報』を創刊しました。

二六新報での活躍

『二六新報』は、当初資金難で休刊しましたが、1900年に再刊。三井財閥攻撃や、娼妓の自由廃業を主張するなど、過激な報道姿勢で人気を博しました。特に、有名人のスキャンダルを暴露するキャンペーンは、大衆の関心を集め、『萬朝報』と並ぶ人気紙となりました。また、1901年には、日本初の労働者集会とされる「労働者大懇親会」を主催するなど、社会運動にも関わりました。

政治家としての転落

1902年には衆議院議員に当選しましたが、露探事件でロシアのスパイ疑惑が浮上。懲罰委員会では証拠不十分とされたものの、嫌疑は晴れず、1904年に議員辞職勧告決議が可決され、議員の座を追われることになりました。

政界の黒幕としての活動

議員辞職後も、秋山は政界に深く関与し続けました。大隈内閣の成立工作や倒閣運動、松島遊郭疑獄への関与が噂され、さらには孫文や蔣介石など、中国大陸の要人との接触も取り沙汰されました。1937年には、歌人柳原白蓮の夫である宮崎龍介が中国訪問を企てた際、関連を疑われ一時拘束されています。また、近衛文麿による新体制運動にも協力していました。しかし、1915年、1917年の総選挙や1928年の東京市長選への立候補は、いずれも落選に終わりました。

その生涯

秋山定輔は、表舞台から退いた後も、その影響力を保持し続けた、謎多き人物でした。1950年1月19日、熱海の別荘で老衰のため死去。享年81歳でした。

著作

『秋山定輔は語る』（村松梢風との共著、講談社、1938年）

参考文献

『新訂 政治家人名事典 明治～昭和』（2003年、日外アソシエーツ）

関連書籍

井川充雄・南部哲郎・張宝芸 企画構成、日本新聞博物館編『言葉の戦士 涙香と定輔―明治新聞人の気概を知りたい』日本新聞博物館、2007年。

関連項目

スパイ

外部リンク

* 近代日本人の肖像 秋山定輔 – 国立国会図書館

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