秋山收

秋山收（あきやま おさむ）

秋山收は、1940年11月21日生まれの日本の官僚です。東京府出身で、通商産業省（現在の経済産業省）に入省後、内閣法制局長官を務めました。官僚としてのキャリアを通じて、通商政策、産業政策、法制解釈など幅広い分野で活躍しました。

経歴

1963年に東京大学法学部を卒業後、通商産業省に入省しました。通商政策局通商調査課長、機械情報産業局計量課長、貿易局為替金融課長、産業政策局調査課長を歴任し、各分野の政策立案に携わりました。その後、内閣法制局に出向し、総務主幹、第四部長、第二部長、第一部長といった要職を歴任しました。1999年には内閣法制次長に就任し、2002年には内閣法制局長官に就任しました。第1次小泉内閣から第2次小泉内閣にかけて同職を務め、退官後は新エネルギー財団会長を務めました。

政策・主張

集団的自衛権の行使

内閣法制局長官在任中には、集団的自衛権の行使に関する政府見解の解釈変更に際し、重要な役割を果たしました。2004年の参議院イラク復興支援・有事法制特別委員会では、イラクにおける多国籍軍への自衛隊参加について、武力行使を伴わない活動に限定すれば憲法上問題ないとの見解を示しました。これは、従来の政府見解を一部修正したものであり、当時の政治情勢と憲法解釈をめぐる議論に大きな影響を与えました。

内閣法制局長官の国会答弁

秋山は、内閣法制局長官の国会答弁の適否よりも、内閣に対する法制局の適切な支援を重要視しています。鳩山由紀夫内閣が内閣法制局長官を政府特別補佐人から外す方針を示した際には、「国会のことは、国会で決めてやればいい」と述べ、形式よりも実質を重視する姿勢を示しました。憲法解釈を含む法律上の問題については、内閣法制局が適切に内閣をサポートしているかを重視すべきであるとの考えを示しました。

憲法解釈の変更

秋山は、憲法解釈の変更には慎重な姿勢を示しています。解釈変更を行う際には、その必要性、範囲、関連条文との整合性などについて、合理的な説明が不可欠であると指摘しました。また、日本国憲法第9条の解釈については、現状に不満があるならば、解釈変更ではなく、立法府として憲法改正の手続きをとるべきであると主張しています。

家族・親族

父の秋山龍は逓信官僚で、後に運輸事務次官を務めました。退官後は、日本空港ビルデング、東京モノレール、ロイヤルパークホテルで社長を歴任し、東京シティ・エアターミナルでは会長を務めるなど、実業家としても活躍しました。このように、秋山家は官僚と実業家の両分野で活躍する人材を輩出しています。

略歴

都立日比谷高校卒業
1963年 東京大学法学部卒業、通商産業省入省
1972年-1975年 外務省プレトリア総領事館領事
1977年 通商産業省通商政策局通商調査課長
1978年 通商産業省機械情報産業局計量課長
1979年 内閣法制局第四部参事官
1984年 通商産業省貿易局為替金融課長
1986年 通商産業省産業政策局調査課長、内閣法制局総務主幹
1988年 内閣法制局第四部長
1989年 内閣法制局第二部長
1996年 内閣法制局第一部長
1999年 内閣法制次長
2002年 内閣法制局長官
2004年 依願免官
新エネルギー財団会長
2007年 王子製紙取締役
2012年 王子ホールディングス取締役
2015年 王子ホールディングス取締役退任


秋山收は、官僚として政策立案に携わる一方で、内閣法制局長官として憲法解釈の最前線に立ちました。その発言や行動は、日本の政治や法制度に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

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