秋田あけぼの銀行硬式野球部

秋田県秋田市を本拠地とした秋田あけぼの銀行硬式野球部は、かつて日本野球連盟に加盟していた企業チームでした。運営母体は、第二地方銀行である秋田あけぼの銀行です。その前身は、相互銀行であった秋田相互銀行の硬式野球部でした。

チームの歴史は、1964年に始まります。秋田相互銀行の準硬式野球部が硬式に転向し、「秋田相互銀行硬式野球部」として正式に創部されました。創部以来、東北地方の社会人野球において存在感を示し、全国大会を目指すことになります。

全国の舞台へは、まず社会人野球日本選手権大会に駒を進めます。創部から11年後の1975年に初めて出場を果たしました。続く大きな目標であった都市対抗野球大会には、1982年に初出場を遂げています。この初出場で、チームは都市対抗での記念すべき初勝利を挙げました。その後も両大会への出場を重ね、社会人野球の強豪チームとして活動しました。

1980年代後半に入ると、運営母体である銀行に変化が訪れます。1989年、秋田相互銀行は相互銀行から第二地方銀行へ転換し、商号を「秋田あけぼの銀行」に改称しました。これに伴い、野球部の名称も「秋田あけぼの銀行硬式野球部」へと変更されました。

しかし、チームの歴史は長くは続きませんでした。1991年10月29日、銀行は再来年に予定されていた金利自由化に備えた業務体制の強化を理由として、その年度のシーズン終了をもって野球部を休部することを発表しました。事実上の解散であり、秋田あけぼの銀行硬式野球部の活動はここで幕を閉じました。

チームの解散後、運営母体であった秋田あけぼの銀行自体も再編の波に飲まれます。1993年には羽後銀行と吸収合併され、新たに北都銀行が誕生しました。なお、現在北都銀行が支援しているバドミントン部は、合併前の羽後銀行が母体となって活動していたものであり、秋田あけぼの銀行硬式野球部とは直接的な系列関係にはありません。

秋田あけぼの銀行硬式野球部は、短い活動期間ながらも、社会人野球の二大大会である都市対抗野球大会に2回、社会人野球日本選手権大会には3回出場を果たしました。特筆すべき出身プロ野球選手としては、1982年のドラフト会議で近鉄バファローズに3位指名され入団した外野手の佐藤純一氏が挙げられます。

秋田県秋田市を拠点としたこのチームは、地域の野球振興にも貢献し、多くの野球ファンに記憶されています。その歴史は、秋田県の社会人野球史において重要な一頁を占めています。

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