秋田Aスケ・Bスケ

秋田Aスケ・Bスケ

秋田Aスケ・Bスケは、昭和の漫才界を彩った名コンビです。戦中から戦後にかけて、その軽妙な掛け合いと個性的なキャラクターで、多くの人々を魅了しました。本記事では、コンビの結成から解散、そしてそれぞれのメンバーの人生を辿ります。

メンバー構成

秋田Aスケ（本名：山口敬一、1922年3月15日 - 2015年8月24日）：主にネタ作りと進行を担当。冷静な語り口と的確なツッコミが持ち味でした。
秋田Bスケ（初代）（本名：山口誠一、1922年3月15日 - 1945年？）：Aスケの双子の弟。しかし若くして病死。
秋田Bスケ（二代目）（本名：北端和夫、1926年1月4日 - 2016年2月22日）：猿の物真似で人気を博し、「エテ公のBちゃん」の愛称で親しまれました。

来歴

Aスケは元々服地屋で働いていましたが、秋田實が主催する漫才道場に第一期研修生として入所。そこで、偶然にも大阪にいた双子の弟を誘いコンビを結成します。しかし、初代Bスケが病死。その後、初代柳家三亀松のカバン持ちをしていたAスケは二代目Bスケと出会い、1946年に改めてコンビを結成します。

1951年には宝塚新芸座に所属し、二代目Bスケの猿真似が爆発的な人気を集めました。毎日放送の専属として多くの番組にも出演。しかし、徐々に副業に力を入れるようになり、表舞台から姿を消していきました。晩年は高齢のため目立った活動はしていませんでしたが、後輩の寄席や講演会に顔を出すなど、その存在感を示していました。

2005年には結成60周年を祝い、2016年には上方演芸の殿堂入りを果たしましたが、Aスケは既に死去、二代目Bスケも受賞発表の3日後に亡くなるという悲しい結末となりました。

芸風

Aスケ・Bスケの漫才は、しゃべくり漫才を基本としていました。夢路いとし・喜味こいしの持ちネタである「こうもり傘の張り替え」は、元々秋田實が彼らのために書き下ろしたものです。しかし、二代目Bスケの猿真似が人気を博したことで、ギャグに頼る傾向が強まりました。Aスケは、Bスケの稽古不足を嘆き、近年のお笑いがコントになっていると苦言を呈することもあったそうです。

エピソード

Aスケは元々歌手志望で、オーディションで藤山一郎の歌を披露しましたが、審査員を唖然とさせるほど下手だったそうです。しかし、地方巡業では、夢路いとし・喜味こいしらと音楽ショーを編成し、ボーカルとして参加していました。
二代目Bスケは、軍隊時代に上官の愛馬の鬣をモヒカンのように刈ってしまい、日本刀で斬られそうになったというエピソードがあります。
猿真似を研究するため、実際に猿の檻に入ったこともあったそうです。
二代目Bスケの猿芸は、間寛平に受け継がれています。
Aスケと二代目Bスケは、コンビ仲が悪かったことでも知られています。挨拶もせず、目を合わせることもなく、移動の際は別々の車両に乗り、楽屋でも必要最低限の会話しかしないという徹底ぶりでした。

主な弟子

秋田Aスケ・Bスケの門下からは、数多くの人気芸人が輩出されました。主な弟子には、以下のような人物がいます。

横山ノック（秋田Kスケ）
秋田Cスケ・Pスケ
三代目平和日佐丸（秋田Οスケ）
秋田一号・二号
秋田イチカ・バチカ

出演作品

映画

弥次喜多漫才道中（1955年）
漫才提灯（1956年）
漫才長屋に春が来た（1956年）
漫才学校 爆笑八人組（1956年）
漫才学校 第三部 ゴリラ大暴れ（1956年）
花笠太鼓（1956年）
漫才学校 爆笑八人組（1956年）
漫才学校 第二部 ガヤガヤホテル（1957年）
忍術御前試合（1957年）
上方演芸 夢月城騒動記（1957年）
上方演芸 底抜け捕物帖（1957年）
淑女夜河を渡る（1957年）
花まつり男道中（1957年）
大岡政談　幽霊八十八夜（1958年）
百万両五十三次（1959年）
伴淳・アチャコのおやじ教育（1959年）
かた破り道中記（1959年）
親バカ子バカ（1960年）
獄門坂の決斗（1960年）
お夏捕物帖 通り魔（1960年）
新吾二十番勝負（1961年）
喜劇 団地親分（1962年）
てなもんや三度笠（1963年）
大阪ど根性物語 どえらい奴（1965年）

CD、DVD

実況録音 上方漫才黄金時代（コロムビア、1996年）
* 上方漫才全集（コロムビア、1999年)


秋田Aスケ・Bスケは、上方漫才の歴史に名を刻む、偉大なコンビでした。彼らの功績は、後世に語り継がれていくことでしょう。

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