柳家三亀松

柳家三亀松（やなぎや みきまつ）について

概要

柳家三亀松は、都々逸や三味線漫談で広く知られる日本の芸人名跡の一つです。特に初代は、戦前から戦後にかけて大きな存在感を誇り、多数のファンに愛されました。彼の芸は、当時の流行やトレンドを反映しつつ、独自のスタイルを築いていきました。

初代 柳家三亀松の生涯

初代柳家三亀松は、1901年9月1日に東京の木場で生まれました。本名は伊藤亀太郎で、家業を手伝いながら芸事にも親しんで育ちました。幼少期から都々逸や小唄といった日本の伝統芸能の修行を重ね、十代の後半には流しとして活動を始めるようになります。

1918年には幇間の桜川梅平に入門し、桜川木場平や揚羽家二三平などの名前で活躍しましたが、転々とする中で次第に独自の道を模索するようになりました。関東大震災で仕事が減少し、天狗連に所属していた時期には、それまでの経験を生かして湊家亀松として寄席に出演します。

彼は1925年、初代柳家三語楼に入門し、晴れて柳家三亀松を名乗ることになります。その後、1932年には宝塚歌劇団の高浪喜代子と結婚し、東京の日本橋浜町に新居を構えました。

芸人としての成功

吉本興業に所属した三亀松は、阪東妻三郎や大河内傳次郎の形態模写を取り入れた漫談スタイルで人気を博しました。彼の音曲漫談はお色気をテーマとしており、その中でも「アハァーん」や「イヤァーん」といったフレーズが主な特徴でした。これらの内容は当時の寄席では問題視されるほど過激で、多くのレコードが発禁となりました。

とはいえ、彼は東京吉本の大看板として君臨し、当時の高給取りの一人となります。戦中は慰問団としても活動し、戦後は解禁されたテレビや寄席で脚光を浴び続けました。1963年には、40年間の芸能生活を祝う興行が行われ、多数の著名な芸人が参加しました。

私生活と晩年

私生活では非常に多才で、結婚歴も何度かありました。また、彼はヒロポンの常習者であり、その影響で苦労も経験しました。弟の隆啓は映画俳優でしたが、若くして戦争で命を落としています。

1968年1月20日、胃がんにより66歳で逝去しました。闘病生活の中で多くの人々に囲まれ、芸人としての最後を迎えた彼は、その後の芸人たちに大きな影響を与え続けています。彼の死を悼む通夜の様子も、開放的で賑やかなものであったと伝えられています。

彼の遺産と弟子たち

初代柳家三亀松の後を継ぐ存在として、二代目柳家三亀松や柳家三亀坊、柳家小三亀松などがいます。また、彼の演じた作品やCDも多く残されており、現代の日本の大衆芸能にも影響を与えています。特に、彼の都々逸に関する作品は現在でも多くの人々に楽しまれています。

彼の功績は日本の伝統文化において大きな位置を占めており、多くの後継者たちに引き継がれています。

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