秋葉重幸

秋葉 重幸（あきば しげゆき）

秋葉重幸（あきば しげゆき）は、1951年生まれの日本の通信工学者で、工学博士の学位を持つ。彼はKDDI研究所の特別研究員、東京工業大学大学院連携教授、さらにKDDIの常務や理事、KDD研究所の所長など、多くの重要な地位を歴任した。特に、海底ケーブルにおける光ファイバ通信の先駆者として知られており、国際通信の基盤を築く上で大きな役割を果たした。

主な業績

1980年末から、海底ケーブルに光ファイバ通信技術が本格的に導入され、国際間の通信量は急増した。しかし、当時の伝送方式では、ギガビットを超える容量を確保するには、信頼性と経済性において限界があった。これに対処するため、秋葉は1980年代後半から、エルビウム光ファイバ増幅器を用いた直接光増幅中継方式の開発に着手した。これにより、5Gbit/sの長距離光増幅海底ケーブルの実現に成功した。

彼の研究により、従来の再生中継方式とは異なる新しい光増幅中継伝送方式が実用化され、世界の主要な光海底ケーブルにこの技術が適用されるようになった。この成果は、今日のグローバル通信の構築に強い貢献をしている。特に日米を直結する第5太平洋海底ケーブルネットワーク（TPC 5 CN）や、東南アジア諸国を結ぶAPCN海底ケーブル、さらには欧州とアジアをつなぐFLAG海底ケーブルなど、多くの海底ケーブルにおいて彼の技術が活用されている。

経歴

秋葉は1974年に東京工業大学工学部電子工学科を卒業し、その後1976年に修士課程を修了。KDDに入社し、研究所に配属された。1984年には東京工業大学より工学博士の学位が授与された。2000年にはKDD研究所の所長に就任し、2002年にはKDDI海底ケーブルシステムの社長に就任している。2011年には主席特別研究員として、また東京工業大学の連携教授としても活躍した。

受賞歴

秋葉の功績は多くの賞に認められている。1979年には応用物理学会賞、1997年には電子情報通信学会業績賞を受賞。2000年にはIEEEフェロー、2005年には電子情報通信学会フェローに選ばれた。さらに、2008年には文部科学大臣表彰・科学技術賞、2011年には紫綬褒章を受賞している。また、2024年にはC&C賞を受けることが決まっている。

著作

彼は多くの研究成果を著書として残しており、その一つに「長距離光ファイバ通信システム」がある。この本は森田逸郎、鈴木正敏との共著としてオプトロニクス社から2019年に刊行された。

結論

秋葉重幸は、その偉大な業績を通じて、日本および全世界の通信技術の発展に貢献した重要な人物である。彼の研究は、現代の通信インフラの礎となり、今後も多くの研究者に影響を与えていくことだろう。

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