秋谷豊

秋谷 豊（あきや ゆたか、1922年11月2日 - 2008年11月18日）は、日本の詩人、随筆家、登山家。

埼玉県に生まれ、日本大学予科を中退。若き日に堀辰雄や立原道造といった詩人たちの影響を受け、詩作の道を歩み始めました。詩人としての活動に加え、登山家としても知られ、その経験に基づいた山や旅に関する著作も多数発表しています。詩、紀行、評論など、その活動領域は多岐にわたりました。

詩人としては、1950年に詩誌『地球』（第三次）を創刊し、ネオ・ロマンチシズムを提唱。ここで社会的な視点と叙情性を兼ね備えた詩を発表し、日本の現代詩壇において独自の地位を築きました。主な詩集としては、『砂漠のミイラ』があり、この作品で日本詩人クラブ賞を受賞しています。また、詩集『時代の明け方』では丸山薫賞を受賞するなど、詩人としての功績は高く評価されています。

詩壇における要職も歴任しており、日本現代詩人会会長、日本現代詩人会議会長、埼玉詩人会会長、世界詩人会議日本大会会長などを務め、詩の普及と振興に貢献しました。また、地元の文化活動にも深く関わり、1984年には埼玉文化功労賞を、1988年には文部大臣賞を受賞しています。

秋谷豊は詩作だけでなく、広く旅や山に関する著作も著しました。ブルーガイドカラー新書として出版された『上高地』や、青春の詩の旅を描いた『ホステル仲間』、山岳名著シリーズの『岩と雪の歌』などがあります。文学と風景を融合させた作品も多く、『文学の旅』や、埼玉の文学に焦点を当てた編著『埼玉の文学 その作品と風土』、晩年の『現代詩史の地平線 その時代に出会った人々』といった評論や回顧録も発表しています。

浦和画家とも関わりがあり、文化人としての幅広い交流も特徴の一つです。晩年まで創作活動を続け、日本の詩壇および文化界に大きな足跡を残しました。彼の文学遺産は、かつて自宅であった浦和区元町の「秋谷豊資料室」に保管されており、公式ホームページ「詩鴗館」を通じてその業績の一部を知ることができます。

主な著書には以下のものがあります。

『登攀』 国土社 1962年
『上高地』 実業之日本社 (ブルーガイドカラー新書) 1968年
『ホステル仲間 青春の詩の旅』 朝日新聞社 1968年
『文学の旅』 吉川書房 1970年
『さらば美しい村よ わが青春の詩人たち』 浪曼 1973年
『ヒマラヤの狐』 鷹書房 1973年
『岩と雪の歌』 二見書房 (山岳名著シリーズ) 1974年
『旅の自叙伝』 スキージャーナル 1976年
『抒情詩の彼方 詩を愛する若い人々へ』 荒地出版社 1976年
『文学山歩 私の歩んだ山と高原』 実業之日本社 1979年6月
『埼玉の文学 その作品と風土』（編）さきたま出版会 1979年8月
『残照の武蔵野』 桐原書店 1981年10月
『ランプの遠近』 さきたま出版会 1981年5月
『秋谷豊詩集』 一色真理編 土曜美術社 (日本現代詩文庫) 1982年4月
『ぼくのアジア探検誌』 花神社 1989年11月
『わが山と旅』 恒文社 1992年4月
『詩で歩く武蔵野』（編著）さきたま出版会 (さきたま双書) 1998年10月
『現代詩史の地平線 その時代に出会った人々』 さきたま出版会 2005年10月

関連事項として、浦和画家との交流が挙げられます。

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