浦和画家

浦和画家：埼玉の芸術拠点と文化人の交流

「浦和画家」とは、埼玉県さいたま市浦和区（旧浦和市）に居住し、活動した多くの画家を総称する言葉です。特に1923年（大正12年）の関東大震災以降、東京や横浜からの文化人移住が相次ぎ、浦和は新たな芸術の拠点として注目を集めました。

関東大震災と浦和への移住

関東大震災で壊滅的な被害を受けた東京や横浜に対し、台地上の浦和は比較的被害が少なく、落ち着いた環境と交通の便の良さから、多くの画家たちが移住。別所沼周辺の高台にはアトリエが立ち並び、いわば「絵描き村」のような活気あるコミュニティが形成されました。この状況は当時の報道でも取り上げられ、「浦和アトリエ村」とも称されました。

浦和駅は日本鉄道（後の東北本線）の開通以来の歴史を持つ駅であり、東京へのアクセスも良好でした。さらに、美術学校や美術館が集中する上野駅へのアクセスも考慮した画家も多かったようです。これらの利便性に加え、静かで落ち着いた住環境が、画家たちを浦和へと惹きつけました。

浦和画家の活動と交流

浦和画家たちは、互いに交流を深め、刺激し合いながら創作活動に励みました。彼らの作品は、埼玉県立近代美術館やうらわ美術館などで展示され、地域文化に大きく貢献しました。2016年にはさいたまトリエンナーレも開催され、現代アートも含めた芸術活動の盛況ぶりを示しています。

代表的な浦和画家

浦和画家の顔ぶれは、関東大震災後に別所沼周辺に移り住んだ画家たちが中心ですが、震災前から浦和に居住していた画家や、戦後に移住した画家たちも含まれます。洋画家、日本画家、様々な分野の作家が浦和に集まりました。以下に代表的な画家を挙げ、それぞれの活躍を紹介します。

洋画家:

福原霞外：明治から大正期の画家。
倉田白羊：日本の洋画壇を代表する画家の一人。
武内鶴之助：風景画や肖像画で知られる。
永田二郎：浦和中学卒業後、洋画の道を歩んだ。
跡見泰、相馬其一、田中保、寺内萬治郎、小林真二、奥瀬英三、林倭衛、福宿光雄、山田説義、須田剋太、瑛九、奥森多加史、里見明正、高田誠、金子徳衛、杉全直、渡辺武夫、斎藤三郎、百瀬浩、田中実、篠田喜與志、伊藤利行、川村親光、小松崎邦雄、塗師祥一郎、小川徳次郎、小川游、守屋順吉、櫻井英嘉、塩崎由美子、石塚雅子、渋谷和良、宮崎次郎、小松崎徹郎など、多くの画家が浦和で活躍しました。

日本画家:

三尾呉石：日本画の巨匠。
四方田草炎：独特の画風で知られる。
間宮正、加藤勝重、三浦白琇、中野蒼穹、岡田春生、山下邦雄、三尾彰藍、三浦光祥、内藤五琅など、多くの日本画家も浦和で制作活動を行いました。

浦和画家の遺産

浦和画家の存在は、浦和という地域に豊かな文化遺産を残しました。彼らの作品は、後世の芸術家や研究者にとって貴重な資料であり、地域文化の理解を深める上で重要な役割を果たしています。現在も、浦和には多くの画家が居住し、創作活動を続けており、「浦和画家」の系譜は脈々と受け継がれています。

参考文献

* 青木義脩『さいたま市の歴史と文化を知る本』さきたま出版会、2014年。

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一水会、馬込文士村

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