秋風 (駆逐艦)

駆逐艦「秋風」について

駆逐艦「秋風」は、日本海軍の峯風型駆逐艦の9番艦であり、1919年に命名されました。この艦の名前については、1928年の資料によると「秋吹く風」にちなんでいるとされています。この艦は、主に太平洋戦争での戦闘および支援任務に従事しました。

艦歴の初期

「秋風」は、三菱長崎造船所で建造され、1921年に竣工し、横須賀鎮守府に所属しました。その後、1933年の昭和三陸地震時には救援任務に従事。翌年の1938年からは日中戦争に参加し、華中の沿岸作戦においても活躍しました。1940年末には第34駆逐隊に転籍され、多くの重要な任務を果たしました。

太平洋戦争の開戦と活躍

1941年12月8日、太平洋戦争の開戦に際し、「秋風」は台湾で不時着機の救助作業を行っていました。緒戦においては、輸送や海上護衛任務を担当しましたが、艦の老朽化も進み、速度が落ちてきました。1942年には蘭印作戦に関与し、インドネシア地域での輸送任務を円滑に進めました。

その後、ガダルカナル島の戦いにおいても重要な役割を果たし、ラバウルを拠点にした護衛任務と強行輸送任務に従事しました。初期の戦闘では水上機母艦「秋津洲」との共同作戦も行い、連戦連勝の活躍を見せました。しかし、1942年秋には空襲の影響で艦が大破し、艦長や多くの乗員が戦死しました。

歴史の中の暗い影

「秋風」の艦歴の中には、「駆逐艦秋風虐殺事件」として知られる悲劇も含まれます。1943年3月、ニューギニアの戦闘において、現地住民を移送中の艦上で、乗員による無惨な処刑が行われました。およそ100人以上の民間人が対象となり、事件は戦後に調査され、幾人かの関与者が起訴されることとなります。

沈没事件

さらに、1944年には「秋風」が空母「隼鷹」の護衛任務に従事の際、米潜水艦によって攻撃され、最終的に沈没してしまいます。この事件は日本海軍にとって大きな損失であり、「秋風」の艦長を含むすべての乗組員は行方不明となり戦死認定されたのです。

現在の遺産

「秋風」の沈没後、その慰霊碑が呉海軍墓地に建立され、空母「隼鷹」とともに記憶されています。この艦の歴史は、日本海軍の様々な側面や太平洋戦争の悲劇を物語るものであり、その運命は現在も多くの人々に語り継がれています。艦艇は単なる軍艦にとどまらず、歴史の証人として存在し続けています。

もう一度検索