科 (分類学)

科について

科（か、英: family、羅: familia）は、生物の分類における重要な階級の1つであり、リンネ式分類の中で目の下、属の上に位置するカテゴリーです。また、科の上には上科（じょうか、英: superfamily）があり、下には亜科（あか、英: subfamily）が置かれることがあります。上科は超科（ちょうか）と表記されることもあります。これにより、生物は階層的に整理され、理解しやすくなっています。

命名法

科の名称は、国際的な命名規約によって正確に決定されます。特に、国際藻類・菌類・植物命名規約、国際細菌命名規約、国際動物命名規約の3つの規約は、それぞれの科のタイプ属からの派生を基に名付けることを義務付けています。これは亜科や動物の上科にも当てはまります。

ただし、タイプ属に基づく命名にはいくつかの例外があります。たとえば、植物の中には長年にわたり使用されてきた名称が、規約に従わずとも同等に扱われるケースがあります。具体例としては、ヤシ科のPalmae（タイプ属Arecaceae）、イネ科のGramineae（タイプ属Poaceae）、アブラナ科のCruciferae（タイプ属Brassicaceae）などがあります。これらの名称は、代替名（alternative name, nom. alt.）として知られています。

原核生物においても、特定の種類の命名においてはJudicial Opinion 15という見解により例外が認められています。たとえば、Enterobacteriaceaeはそのタイプ属がEscherichiaであることが明確にされています。また、ウイルスやウイロイドに関しては、語尾を一致させるだけで命名が行われます。

歴史

「科」という言葉が現在の意味で使われ始めたのは、比較的最近のことです。この語はフランスの植物学者ピエール・マニョールが、1689年に発表した著作『Prodromus historiae generalis plantarum』に登場しました。この書では、植物を76のグループにまとめ、それぞれを科と名付けていました。当時は現在のような階級の概念がまだ成熟していなかったため、マニョールは科をより大きな属に整理することについて言及しています。

カール・フォン・リンネも1751年に著した『植物哲学』の中で、植物に7つのfamiliaがあると記しています。これには、菌、藻、コケ、シダ、草、ヤシ、木が含まれますが、ここではまだ分類体系として整っていませんでした。

19世紀のフランスの植物学でも、ミシェル・アダンソンの著作『Familles naturelles des plantes』から始まり、'famille'という言葉がラテン語のordoの訳語として使われていました。しかし、このordoは19世紀の植物学において、現在の科に相当する階級として認識されていました。

動物学の分野においては、科は目と属の間の階級として、1796年にピエール・アンドレ・ラトレイユの著作で初めて取り上げられましたが、当初は全ての科に名称が与えられていたわけではありませんでした。20世紀初頭には、科という概念が現在の意味で長期にわたり一貫して用いられるようになり、各命名規約によってその用法や学名の語尾が規定されています。

このように、科は生物の分類において重要な役割を果たしており、命名法や歴史においてもさまざまな規定や変遷が存在します。

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