秩父鉄道ヲキ・ヲキフ100形貨車

秩父鉄道ヲキ100形・ヲキフ100形貨車は、秩父鉄道で運用されている石灰石輸送用のホッパ車です。ここでは、その概要、構造、運用、そしてその名称の由来について詳しく解説します。

概要

ヲキ100形・ヲキフ100形は、1956年（昭和31年）から汽車製造と川崎重工業（宇都宮）で製造された35トン積みのボギー式石灰石バラ積みホッパ車です。全車が太平洋セメントの私有貨車として登録されています。

石灰石の荷卸しは、車体底部にある底板を開放することで、積載物を一気に落下させる仕組みを採用しています。製造時期によって車体の組み立て方法に違いがあり、初期の車両はリベット接合、後期の車両は溶接構造となっています。

ヲキフ100形は車掌室を備えていますが、1988年（昭和63年）以降は車掌の乗務は行われていません。以前はヲキ8両の両端にヲキフを連結した10両編成を2本連結し、20両編成で運用されていましたが、近年では編成の構成が変化しています。2020年現在では、試運転などの一部を除き、影森方にヲキフ1両、ヲキ9両を連結した10両編成を2編成連結した20両編成で使用されています。ヲキフ100形には車掌室の幅が狭い車両と広い車両の2種類が存在しましたが、現在は広いタイプの車両のみが現存しています。

現在の主な運用区間は、影森駅 - 武州原谷駅 - 武川駅 - 三ヶ尻駅間で、太平洋セメント熊谷工場向けの石灰石輸送を担っています。JR線などの他社線への乗り入れはありません。

ヲキ・ヲキフの名称の由来

ヲキ・ヲキフの「ヲ」の由来には、「鉱石」（コウセキ）からとする説と、英語の鉱石「ore」からとする説の2つがあります。「鉱石」は歴史的仮名遣いでは「くわうせき」と表記されるため、「ore」を語源とする説が有力とされています。

東武鉄道のヲキ1形・ヲキフ1形

昭和初期には、東武東上線にもヲキ1形とヲキフ1形という貨車が存在していました。これらは根古屋線を経由し、浅野セメントの根古屋鉱山（埼玉県小川町）で採掘された石灰石を運搬するための私有貨車でした。

参考文献

• - 『日本の貨車-技術発達史-』（貨車技術発達史編纂委員会編著、社団法人 日本鉄道車輌工業会刊、2008年）

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