稲佐神社

稲佐神社の紹介

稲佐神社（いなさじんじゃ）は、佐賀県杵島郡白石町に位置する神社で、地域の重要な宗教的、文化的シンボルです。国史に名を残す「稲佐雄神」を祭神としており、旧社格は県社です。この神社がある場所には、かつて稲佐山泰平寺が設立され、神仏習合の文化が色濃く残っています。

祭神について

この神社には以下の祭神が祀られています：

• - 五十猛命
• - 大屋津姫命
• - 天神
• - 女神
• - 聖王神（聖王）
• - 阿佐神（阿佐太子）

それぞれの神々は、古代から地域の人々に深く信仰されており、農業や海の安全、家内安全などを顕彰しています。

歴史

稲佐神社の創祀年代は不明ですが、史書「三代実録」によると、定観3年（861年）に従五位下、仁和元年（885年）には従五位上に叙せられたことが記録されています。社伝によれば、天地開闢の時代に五十猛命が祀られ、飛鳥時代には百済から来た阿佐王子がこの地に定住し、後に稲佐大神と両親を合祀したとされています。そして、阿佐王子の死後も彼の霊は神社に祀られ続けました。

平安時代には、空海によって稲佐泰平寺が開かれ、この地の鎮守神として稲佐大明神が位置付けられました。それからここは真言宗の一大霊所として栄え、何度も神社や寺院の再建が行われています。現在の本殿は、享保6年（1721年）に再建されたもので、古くから続く信仰の場として重要な役割を果たしています。

祭事・行事

稲佐神社では、様々な祭事が行われています。主な祭りには以下のものがあります：

• - 祈年祭（2月28日）：農作物の豊穣を祈る祭りです。
• - かけ参り（2月10日 - 20日頃）：参拝客が多く訪れる期間で、特別な儀式が行われます。
• - 秋季例祭（10月19日）：流鏑馬の行事が行われ、伝統的な武士の文化が色濃く残ります。これは建久7年（1196年）に由来します。
• - 新穀感謝祭（12月3日）：新しい穀物への感謝を込めた祭りです。
• - お火焚き（12月26日）：年末の恒例行事で、災厄を祓うために火を焚く行事です。

境内社と文化財

神社の境内にはいくつかの境内社があります。御嶽神社、八幡神社、天満神社、稲荷神社、忠霊神社があります。また、稲佐神社には文化財も多く、特に注目されるのは以下の2つです：

• - 稲佐神社の楠（天然記念物）：樹齢600年以上の大楠が2株あり、1965年に指定されています。1株は根回り26m、もう1株は約26.5mの高さを誇ります。
• - 石造肥前鳥居（重要文化財）：この鳥居は1585年に遡り、県内最古の肥前鳥居として2021年に指定されました。直立する柱が下部で太くなっていき、重厚感がありながらも軽やかな造形をしています。

稲佐神社は歴史や文化が豊富な場所であり、地元の人々にとって大切な信仰の場として、また観光地としての役割も果たしています。信仰の伝統が守られ、地域社会と深く結びついた神社の姿勢は、訪れる人々にとっても特別な体験を提供しています。

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