稲垣浩 (労働運動家)

稲垣浩について

稲垣浩（いながき ひろし）は、1944年5月5日生まれの日本の労働運動家、政治活動家です。釜ヶ崎地域合同労働組合の委員長、北大阪合同労働組合の執行委員長、そして釜ヶ崎炊き出しの会の代表という複数の肩書を持ち、長年にわたり労働者の権利擁護と生活支援に取り組んでいます。

生い立ちと初期の活動

大阪高等学校を卒業後、兵庫栄養専門学校を卒業しました。1970年、給食会社「一富士」で労働組合を結成しようとした際に解雇されたことをきっかけに、労働運動に身を投じます。同年、安保闘争に参加し逮捕・収監される経験もしました。

1972年には、「暴力手配師追放釜ヶ崎共闘会議」の結成に参加し、釜ヶ崎地域での活動を本格化させました。1975年12月10日からは、現在も続く炊き出し活動を開始。1978年には、「釜ヶ崎解放会館」の設立にも関わっています。

政治活動

1979年以降、稲垣氏は大阪市議会議員選挙に毎回立候補していますが、当選には至っていません。何度か供託金が没収されるなど、厳しい選挙戦を経験しています。

労働運動

1981年には、釜ヶ崎地域合同労働組合の結成に参加し、労働者の権利擁護活動を継続。2007年には、西成公園でホームレスのテント状況を調査していた大阪市職員に暴行を加えたとして、威力業務妨害罪で有罪判決を受けています。さらに2008年には、西成署員による日雇い労働者への暴行に抗議する群衆の中で道路交通法違反の疑いで逮捕され、実刑判決を受け、収監されるという事件も経験しています。これらの事件は、稲垣氏の活動が時に激しい社会運動と結びついていることを示しています。

その他の活動

稲垣氏は、YouTubeに自身の演説動画をアップロードしており、自身の考えを発信しています。また、和歌山毒物カレー事件の犯人として死刑が確定した林眞須美死刑囚の支援活動も行っており、2014年には林死刑囚と養子縁組をしています。この活動は、稲垣氏の持つ独自の信念と社会に対する関心を示すものと言えるでしょう。

著書

1989年には、著書『釜ヶ崎炊き出しのうた』を海風社から出版しています。この書籍は、稲垣氏の活動や思想を理解する上で重要な資料となっています。

関連情報

稲垣氏の活動は、釜ヶ崎地域における労働運動や社会運動と深く関わっており、その活動は多くの人々に影響を与えています。彼は、労働者の権利擁護、生活困窮者への支援、そして社会的な不正義に立ち向かう姿勢を示し続けています。

まとめ

稲垣浩は、その生涯を通じて労働者の権利擁護と社会正義のために活動を続けてきた人物です。彼の活動は、時に困難や批判にさらされながらも、多くの人々に勇気と希望を与えています。釜ヶ崎地域での活動を中心に、その影響力は広範囲に及び、日本の社会運動における重要な存在と言えるでしょう。

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