稲妻雷五郎

稲妻雷五郎 - 江戸時代の名横綱

1. 基本情報

稲妻雷五郎（いなづま らいごろう）は、1795年頃に常陸国河内郡阿波崎村に生まれ、本名は根本才助（ねもと さいすけ）です。大相撲界では第7代横綱として知られ、特に川柳や俳句に興味を持つ文人でもありました。

2. 来歴

彼はまず佐渡ヶ嶽部屋に入門し、その後錦嶋部屋に移籍して松江藩に仕える力士となりました。1821年の2月場所で「槇ノ嶌」という四股名で幕下からデビューし、1824年には新入幕に至ると同時に「稲妻雷五郎」に改名します。この年、彼は素晴らしい成績を収め、1825年1月場所では小結に昇進しました。以降も彼は着実に出世を重ね、1827年には大関に昇進します。それは、平幕や小結、関脇を経てからの昇進であり、そのスピードは異例でありました。

特に1828年には紫の廻しと注連縄を五条家から受け取り、翌1829年に吉田司家から横綱としての免許を授与されます。しかし、二人の家に関する争いが生じることもありましたが、最終的に両者間で調整が行われ、1830年には横綱としての地位が正式に承認されました。

3. 実績と評価

雷五郎は1831年から1835年の間に33連勝を達成し、幕内での勝率は90.9%に達しました。これは江戸時代の相撲界においてすばらしい記録です。当時の川柳でも彼の強さが詠まれ、雷電と並んで強豪として広く認知されていました。また、風流人としての一面もあり、しばしば俳句を作っていたことが知られています。「すずしさや　四股ふんで呑む　力水」など、彼の作品は文化的な遺産としても評価されています。

また、彼の著した「相撲訓」は相撲道に対する深い洞察を提供し、その内容は今もなお多くの人々に読み継がれています。

4. 引退後の活動

現役引退後は、雲州相撲の頭取として活動しましたが、藩の財政緊縮政策の影響で、力士が減少し、目立った業績は残しませんでした。明治維新後に東京に戻り、1877年に82歳でこの世を去ります。彼の辞世の句には「稲妻の 去り行く空や 秋の風」という言葉が残されています。今、彼の墓は東京都渋谷区の妙円寺にあります。

5. 人物像

雷五郎はその怪力でも知られており、一度は質屋で天保銭の隠された火鉢を片手で持ち上げ、驚かせたという逸話があります。また、横綱の免許を授与された際、仁孝天皇の前でもその大柄な体格を見せつけながら、非常に印象的な振る舞いを見せたとされています。

彼の息子、根本金太郎もまた剣客として名を馳せ、その血筋は山咲トオルや中沢初絵のように、現代に至るまで続いています。稲妻雷五郎の功績と魅力は、相撲界に留まらず文化としても多くの人に影響を与えていると言えるでしょう。

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