稲嶺誉

稲嶺 誉

1980年10月21日、沖縄県糸満市に生まれた稲嶺 誉（いなみね ほまれ）は、日本の元プロ野球選手であり、現在は福岡ソフトバンクホークスのスカウトとして活動しています。現役時代は主に内野手としてプレーし、右投げ左打ちでした。横浜ベイスターズで投手を務め、現在もスカウトとして働く稲嶺茂夫は従兄にあたります。

アマチュア時代

沖縄水産高校では、後のチームメイトとなる新垣渚と共にチームの中心選手として活躍しました。一年生からショートのレギュラーを務め、強打のトップバッターとしてチームを牽引。三年生時には、春の選抜高等学校野球大会（第70回）と夏の全国高等学校野球選手権大会（第80回）に連続して出場し、甲子園の舞台でその才能を示しました。

高校卒業後は、北海道網走市にある東京農業大学生物産業学部へ進学。ここでも入学直後からレギュラーの座を獲得し、主力選手として鳴らしました。全日本大学野球選手権大会には四年連続で出場を果たし、大学球界でも注目を集めます。特に所属していた北海道六大学リーグでは圧倒的な成績を残し、首位打者に三度輝き、ベストナインには六度も選出されるなど、その打撃と守備は傑出していました。大学通算打率は.385という高打率を記録し、俊足を生かした通算40盗塁もマーク。また、大学での卒業研究のテーマが『ガチョウ』であったことは、異色のエピソードとして知られています。大学の同期には後にプロ入りする小森孝憲がいました。

プロ選手時代

大学での活躍が認められ、2002年のプロ野球ドラフト会議において、福岡ダイエーホークスから8巡目で指名を受け入団。背番号は「60」を背負いました。

プロ一年目の2003年には、ルーキーながら一軍に昇格し、同年10月3日、オリックス・ブルーウェーブ戦でプロ初出場、初先発出場を飾ります。この試合で加藤大輔投手からプロ初安打、そして初盗塁も記録しました。翌2004年4月23日の北海道日本ハムファイターズ戦では、押本健彦投手からプロ初打点を記録するなど、着実にプロのキャリアを歩み始めました。チームは2005年に福岡ソフトバンクホークスへ球団名を変更しましたが、稲嶺は引き続きホークスの選手としてプレーしました。

プロ入り後は内野の複数のポジション（主に二塁、遊撃、三塁）を守れるユーティリティプレイヤーとしてチームに貢献。打撃面では、2005年には両打ちへの転向を試みましたが、翌2006年からは本来の左打ちに戻しています。シーズンを通じて目立った打撃成績を残すことは少なかったものの、勝負強い一面も見せました。特に2006年のプレーオフ・対西武ライオンズ戦では、シーズン打率.196ながら、重要な場面で代打起用に応え、第3戦で同点となるタイムリーヒットを放ち、チームの勝利に貢献しました。

また、その顔立ちが似ていることから、当時読売ジャイアンツの内野手であった小笠原道大と親交があり、共に自主トレーニングを行うなど、球界内外で交流がありました。守備範囲を広げるため、2006年秋季キャンプでは外野守備の練習にも取り組んでいます。しかし、プロの世界での競争は厳しく、2007年10月、球団から戦力外通告を受け、現役を引退しました。

引退後のキャリア

現役引退後も野球界に留まり、指導者としての道を歩み始めます。2007年12月には、独立リーグである四国・九州アイランドリーグに所属する福岡レッドワーブラーズのコーチに就任し、2008年シーズンの一年間、選手の育成に尽力しました。

2009年1月からは、古巣である福岡ソフトバンクホークスに復帰。ファームのスタッフとして裏方からチームを支えることになりました。その後、二軍マネージャーを務めるなど、球団運営の一端を担いました。現場への復帰も果たし、2014年には二軍内野守備走塁コーチ、翌2015年には三軍内野守備走塁コーチを歴任。若手選手の育成に尽力しました。

2016年からは、その経験と人脈を生かし、球団のスカウトに転身。現在は、未来のホークスを支える新たな才能を発掘するため、全国各地を飛び回っています。選手として、独立リーグのコーチとして、そしてソフトバンクホークスのコーチ、マネージャー、スカウトとして、多角的な視点から野球界に貢献し続けています。

詳細情報

所属球団歴：福岡ダイエーホークス（2003年 - 2004年）→ 福岡ソフトバンクホークス（2005年 - 2007年）
背番号：60（選手、2003年 - 2007年）、79（コーチ、2014年 - 2015年）

※NPBでの個人年度別打撃成績や詳細な記録については、外部リンクを参照してください。

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