稲川部屋

稲川部屋の歴史

稲川部屋はかつて存在した相撲部屋で、その歴史は興味深いものがあります。この部屋は、雷部屋から派生したものであり、初代の師匠である稲川政之助が年寄となり、自身の名を冠した部屋を設立しました。彼は現役時代の名を用いて、そのまま部屋を経営することとなりましたが、残念ながら関取の誕生には至りませんでした。

初代の師匠と部屋の運営

稲川政之助の活動は実に短命で、嘉永6年（1853年）の6月に彼が亡くなると、部屋は閉じられることとなりました。この時期、相撲界は非常に流動的であり、力士たちも次々と移籍を余儀なくされました。稲川部屋の後を受けて、明治15年（1882年）には浦風部屋の元幕内力士が4代目稲川を名乗って再び部屋を銘打ちますが、これも長続きすることはありませんでした。

2代目の稲川部屋の設立

明治23年（1890年）にこの部屋の4代目が死去し、彼の所属していた力士は浦風部屋に移籍しました。その後、浦風部屋から高砂部屋に所属した幕内力士が明治32年（1899年）には5代稲川を二枚鑑札で襲名します。ここから新たに生まれ変わった稲川部屋は、一時的に振興を見せることになりました。

力士たちの成長と師匠の死

この時期、稲川部屋に所属した力士の中には、後に幕内に昇進した氷見ヶ濱弥太郎や山田川清太郎といった名力士が育成されました。彼らの成長は部屋の活況を示すものであり、稲川部屋も相撲界での地位を確立しようとしていました。しかし、相撲部屋の運命は常に波乱万丈であることを忘れてはなりません。

最後の閉鎖とその影響

大正5年（1916年）に5代目稲川の師匠が亡くなると、部屋は再び閉鎖されてしまいます。流れに乗り切れなかった部屋の所属力士たちは、再び高砂部屋に移籍せざるを得なくなりました。その中には、後に小結として知名度を上げる射水川健太郎もいたのです。こうして、稲川部屋はその存在を終えることとなりました。

まとめ

稲川部屋は、相撲界に一時的に存在したものの多くの変遷を経た部屋でありました。短いながらも、彼らが築いた歴史は相撲界の重要な一部です。力士たちの移籍や師匠の死が続いた時代の中で、稲川部屋の成長と消滅は、時代の波に翻弄された一つの証しと言えるでしょう。

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