稲村稔夫

稲村 稔夫（いなむら としお）

稲村稔夫は、1928年8月16日に東京で生まれ、2000年3月12日に亡くなった日本の著名な教育者および政治家です。彼は特に新潟県における政治活動や市長職で知られており、そのキャリアは教育界から政治の舞台へと広がっていきました。

経歴

稲村氏は、1948年に北海道大学農林専門部を卒業後、同年5月から教諭としての仕事をスタートさせました。最初は倶知安中学校で教え、その後、北海道歌志内高等学校に転任しました。彼は教職員組合でも積極的に活動しており、その後、政治活動へと方向を変えました。

日本社会党に関わるようになった稲村氏は、党内では農民活動の重要な役職を担いました。沖縄返還要求運動や原水爆禁止運動、さらには農民運動などに熱心に取り組み、1972年には新潟県三条市長選挙に出馬して当選しました。彼の当選後、三条市は革新自治体として知られるようになり、市政において公害対策、教育、福祉の改善に努めました。

初めの市長任期を終えた後の1978年、新潟県知事選挙に出馬しますが、その時は自民党公認の現職に敗れました。しかし、1983年には参議院議員通常選挙に挑戦し、見事当選しました。さらに1989年にも再選を果たし、2期にわたり参議院で活躍しました。この期間中、彼は参議院建設委員長や社会党新潟県本部の執行委員長なども歴任しました。

1995年には出馬を見送りましたが、1996年には新社会党に党籍を変えて再度選挙にチャレンジしました。しかし、結果としては落選しました。

国政選挙歴

• - 第32回衆議院議員総選挙（新潟県第3区、1969年12月、日本社会党公認）：落選
• - 第13回参議院議員通常選挙（新潟県選挙区、1983年6月、日本社会党公認）：当選
• - 第15回参議院議員通常選挙（新潟県選挙区、1989年7月、日本社会党公認）：当選
• - 第41回衆議院議員総選挙（新潟2区、1996年10月、新社会党公認）：落選

家族と背景

稲村氏の父親は元衆議院議員で農民運動家の稲村順三、伯父も同様に元衆議院議員で農民運動家の稲村隆一です。彼の家庭環境は、政治的志向を強く影響したと考えられます。また、趣味として農機具の修理やバラの栽培があった彼は、農業や環境に対する深い理解を持っていました。

政治においては、彼は政治犯の釈放を求める活動にも参加し、広い視野と人道的な思考を持つ方だったことが窺えます。これまでの人生を通じて、教育と社会の発展、農民の権利の向上に尽力した稲村稔夫は、日本の政治史に名を残す存在です。

参考文献

• - 『日本の歴代市長 第2巻』歴代知事編纂会、1984年。
• - 衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 貴族院・参議院議員名鑑』1990年。
• - 『現代物故者事典 2000-2002』日外アソシエーツ、2003年。
• - 『現代政治家人名事典 中央・地方の政治家4000人』日外アソシエーツ、2005年。
• - 『国政選挙総覧：1947-2016』日外アソシエーツ、2017年。

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