稲村隆一

稲村隆一の生涯と業績

稲村隆一（いなむら りゅういち）は、1898年3月7日に生まれ、1990年11月20日に亡くなった日本の農民運動家かつ政治家で、元衆議院議員でもあります。彼の弟である稲村順三も有名な政治家であり、甥の稲村稔夫も政治家の道を歩みました。

初期の人生と教育

稲村は北海道の虻田郡喜茂別町で育ちました。1918年には北海中学校（当時は旧制）を卒業し、1923年に早稲田大学政治経済学部を卒業しました。学生時代、彼は建設者同盟に参加し、農民運動へとその活動を広げていきます。

政治活動の始まり

早稲田大学在学中には日本共産党に入党し、1926年には労働農民党に参加しました。1928年の三・一五事件に関連して彼は逮捕された後、社会大衆党に移籍します。この期間中、農民の声を代弁するための活動を続けていきました。

農民連盟の設立

1937年には新潟県において日本農民連盟を結成し、皇国農民連盟とも協力関係を築きました。さらに1940年には、石原莞爾が推進していた東亜連盟運動に参加しました。これらの活動を通じて、彼は農民の権利向上に尽力しました。

戦後の政治経歴

第二次世界大戦後、稲村は日本社会党に入党するものの、公職追放の令によりしばらくの間は政治活動が制約されました。しかし、1955年に弟の順三の死を受けて旧新潟3区から衆議院議員に立候補し、当選を果たします。以降、1960年までの3回の選挙でも当選し、日本社会党の衆議院議員として4期を務めました。

彼の政治活動の中で、社会党の左派として重要な役割を担い、党中央執行委員や北海道開発特別委員会の委員長も歴任しています。また中越共同印刷社長や日ソ親善協会理事長など、他の重要な役職にも就いています。1976年には印刷センター社長にもなり、さまざまな分野で影響を持ち続けました。

勲章の返上と抗議

1970年には勲二等瑞宝章を受章しましたが、1978年に笹川良一の勲一等瑞宝章受章に抗議し、その勲章を返上しました。彼はギャンブルを社会悪とみなし、その組織の長が叙勲されることに対して強く批判しました。

最後の時

1990年11月20日、稲村隆一は92歳でその生涯を閉じました。彼の活動は日本の農民運動において重要な役割を果たし、後世に多くの影響を与えました。

主要著書

稲村は農民問題に関する多数の著作を残しており、その中には以下のものがあります。

• - 『農民運動の経済的並びに政治的基礎』（1927年）
• - 『日本に於ける農業恐慌』（稲村順三との共著、1931年）
• - 『日本農村社会史』（1969年）

これらの著作により、農業と農民問題についての理解を深めるための貴重な資料となっています。

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