稲橋八幡神社

稲橋八幡神社

稲橋八幡神社は、愛知県豊田市稲武町に位置する、由緒ある神社です。旧社格は郷社であり、地域の人々からは「子安八幡」という名でも親しまれています。

祭神

息長足姫命（おきながたらしひめのみこと）
誉田別天皇（ほんだわけのすめらみこと）
比売大神（ひめおおかみ）
天照皇大神（あまてらすおおみかみ）
白山比売命（しらやまひめのみこと）

歴史

神社の正確な創建年は不明ですが、伝承によれば清和天皇の御代に宇佐八幡宮から分霊を勧請し創建されたとされています。安産の神として知られ、近隣地域だけでなく、信濃国や美濃国など遠方からも多くの参拝者が訪れていました。

参拝者は竹製の柄杓を持参する習慣があり、これはこの地域の独特な風習でした。江戸時代には氏子数が変動しており、宝暦11年（1761年）には47戸、寛政元年（1789年）には45戸、天保13年（1842年）には43戸となっています。

明治時代に入ると、神社は地域の教育にも関わるようになります。明治8年（1876年）には、明月清風校が一円寺の境内から八幡神社の境内に移転し、翌年には第86番稲橋学校と改称されました。稲橋学校は明治35年（1902年）まで神社の境内にあり、この学校が現在の豊田市立稲武小学校の前身となっています。

境内には、日清戦争と日露戦争の殉国者を祀る記念碑が建立されています。また、明治5年（1872年）には近代社格制度において村社に列せられ、明治12年（1879年）には郷社に列せられました。明治40年（1907年）には、下中当の村社であった神明社を合祀しています。氏子数は、明治元年（1868年）には45戸、大正元年（1912年）には70戸、昭和15年（1940年）には138戸、昭和59年（1984年）には146戸と増加しています。

行事

大祭: 毎年8月14日と8月15日に行われます。
大祓祭: 毎年6月末日と12月末日に実施されます。
月次祭: 毎月1日と15日に執り行われます。

文化財

愛知県指定天然記念物「八幡神社のスギ・ヒノキ合体木」: 社殿の正面にそびえ立つ御神木で、スギがヒノキを抱きかかえるように成長しています。スギは樹高44メートル、胸高囲6.3メートル、根回り8メートル、推定樹齢700年。ヒノキは胸高囲2メートルです。昭和58年（1983年）7月7日に愛知県の天然記念物に指定されました。

現地情報

所在地: 〒441-2513 愛知県豊田市稲武町稲橋宮ノヒラ1
アクセス:
猿投グリーンロード 力石インターチェンジから車で約40分。
東海環状自動車道 豊田勘八インターチェンジから車で約50分。

参考文献

稲武町教育委員会『稲武町史 民俗資料編』、稲武町、1999年
* 安藤泰『目で見る 稲武の歴史と文化』、2011年


稲橋八幡神社は、地域の歴史と信仰を今に伝える貴重な存在です。訪れる人々は、神社の歴史を感じ、自然豊かな境内で心を癒すことができるでしょう。

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