稲永新田

稲永新田（いなえいしんでん）

概要

稲永新田は、愛知県名古屋[[市]]港区に位置する地名です。丁番を持たない単独町名であり、現在ではごくわずかな範囲のみが存在しています。この地域は、かつて存在した二つの新田、稲富新田と永徳新田が合併して成立したという歴史を持っています。

地理

稲永新田は港区の南部に位置し、現在は道路用地など、ごく一部が残るのみです。東と南は潮凪町、西は稲永、北は一州町に接しています。また、字り・ちは、稲永東公園の南東部に飛び地として存在し、周囲を稲永三丁目に囲まれています。

小字

稲永新田には、以下の小字が残っています。

字り
字ちは
字新田前
字辰巳
字東海道

歴史

稲永新田は、稲富新田と永徳新田が合併して成立しました。それぞれの新田の歴史は以下の通りです。

稲富新田

稲富新田は、尾張国愛知郡の新田として、文政3年（1820年）に粟田兵部により熱田前新田の南西の海面を埋め立てて造成されました。開発には内田忠次郎の資金援助があったとされています。明治2年（1869年）の記録では、荒地であったため無税とされていました。明治9年（1876年）または明治11年（1878年）に永徳新田と合併し、稲永新田となりました。

永徳新田

永徳新田は、尾張国愛知郡の新田として、文政9年（1826年）に熱田の大喜下総により宝来新田および稲富新田の南側海面を開発されました。こちらも稲富新田と同様に内田忠次郎が開発に関与したとも言われています。安政年間に台風で大きな被害を受け、一時的に海に戻っていましたが、慶応2年（1866年）に岐阜の渡辺甚吉を中心に修復されました。稲富新田と同様に、当初は荒地であったため無税でした。

町名の由来

稲永新田という地名は、稲富新田と永徳新田の合併によって成立したことに由来する合成地名です。

行政区画の変遷

1878年（明治11年）12月28日：愛知郡稲富新田と永徳新田が合併し、愛知郡稲永新田となる。
1889年（明治22年）10月1日：合併により、愛知郡寛政村大字稲永新田となる。
1906年（明治39年）5月10日：合併により、愛知郡小碓村大字稲永新田となる。
1907年（明治40年）7月16日：合併により、名古屋[[市]]稲永新田となる。
1908年（明治41年）4月1日：南区成立により、同区稲永新田となる。
1912年（大正元年）9月22日：台風により壊滅的な被害を受け、30人が死亡。
1913年（大正2年）4月29日：名古屋尚農会により採種田が設置される。
1930年（昭和5年）9月9日：一部が錦町となる。
1937年（昭和12年）10月1日：港区成立に伴い、同区稲永新田となる。
1940年（昭和15年）10月15日：一部が一州町・稲永町となる。
1985年（昭和60年）7月15日：一部が野跡一丁目から同五丁目に編入される。
1987年（昭和62年）11月22日：一部が錦町および稲永一丁目から同五丁目に編入される。

学区

稲永新田の住民が通う小・中学校は以下の通りです（学校名は省略）。また、公立高等学校に通う場合の学区も定められています。

参考文献

名古屋[[市]]会事務局 編『名古屋[[市]]会史 別巻第2 総合名古屋[[市]]年表（大正編）』名古屋[[市]]会事務局、1963年
「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典 23 愛知県』角川書店、1989年
名古屋[[市]]計画局『なごやの町名』名古屋[[市]]計画局、1992年
北見昌郎『愛知千年企業 大正時代編』中日新聞社、2016年

関連項目

名古屋[[市]]の地名

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