稲田正純

稲田正純の生涯

稲田 正純（いなだ まさずみ、1896年8月27日 - 1986年1月24日）は、日本の陸軍における重要な軍人で、最終的には陸軍中将の階級にまで昇進しました。彼は鳥取県の日野町に生まれ、陸軍軍医・稲田清淳の次男として、厳しい軍事教育を受けて育ちました。

初期のキャリア

彼は米子中学校を卒業後、広島陸軍地方幼年学校、さらには中央幼年学校で学びました。1917年には陸軍士官学校を29期生として卒業し、陸軍砲兵少尉としてのキャリアをスタートさせました。その後、陸軍砲工学校高等科や陸軍大学校を経て、優秀な成績で卒業しました。この段階で、彼はすでに他の軍人たちと比べても優れた知識と技術を持っていたことが伺えます。

軍歴の深化

稲田氏は参謀本部付勤務や参謀部門での役割を担い、フランス駐在を経験し、野戦重砲兵第2連隊の大隊長や陸軍大学校の教官としての役割を果たしました。彼のキャリアは順調に進み、1938年には参謀本部第2課長（作戦課長）に就任します。この頃、ノモンハン事件が発生し、稲田氏はその指揮を執りました。

続いて彼は、さまざまな軍の役職を歴任し、ついには1941年に陸軍少将に昇格しました。さらに、南方軍総参謀副長としても活動しましたが、インパール作戦に対する強い反対の姿勢が災いし、1943年に更迭されました。

戦後の生活

第二次世界大戦の終結後、稲田氏は1946年に戦犯容疑で逮捕され、巣鴨プリズンに収監されることとなります。1948年にはBC級戦犯としての判決が下され、重労働7年の刑を受けましたが、1951年に釈放されました。その後、彼は電源開発や日米石油の役員職を経て、商業の分野で活動するようになります。

人物像とエピソード

彼の性格は、陸軍内でも物議を醸すものでした。特に、ノモンハン事件の際、稲田氏による責任の所在を他者に転嫁する態度は、後に作家の司馬遼太郎を驚かせました。「悪いのは関東軍」と繰り返す姿勢は、彼の無責任さを象徴していたとされます。また、ニューギニアで米軍の攻撃を受けた際、急速に撤退し、部下を見捨てた結果、彼は軍内で問題視され、停職処分を受けました。

家族と栄典

稲田氏は、内閣総理大臣の娘である妻・和子との結婚を経て、家庭を持ちました。また、彼の兄は陸軍中将であり、軍人一家としての側面も持っています。彼は1943年に勲二等瑞宝章を受章するなど、その軍歴を評価されています。

結論

稲田正純は日本陸軍の歴史において、一連の軍事作戦や戦争の流れに大きな影響を与えた人物です。しかし、その行動や決断は賛否が分かれるものも多く、特に戦後の評価においては批判的な見方が強調されることが多いのが実情です。

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