稲田神社

稲田神社の由緒と歴史

稲田神社は、茨城県笠間市稲田に位置する、古社です。式内社であり、旧社格は県社でした。主祭神は奇稲田姫命（くしいなだひめのみこと）で、そのほか布都主神、菅原道真公、大山咋命、大日孁貴命、そして未詳の1柱が合祀されています。

創建と伝承

神社の創建時期は明確には分かっていませんが、江戸時代の『稲田姫宮神社縁起』によると、この地の邑長・武持の家童が泉の傍らで奇稲田姫と出会ったことが起源とされています。姫は自らを地主神であると告げ、父母の宮、夫婦の宮を建て、泉の水で稲を育て祀るよう神託を下しました。本宮（奥の院）は神社の北西約300メートルの稲田山中腹にあり、そこには巨石が突き出ています。この巨石が稲田姫の降臨地と伝えられています。

また、この神社は、古代の新治国造が奉斎したと考えられています。新治国造は律令制以前に新治郡を治めていたとされる国造で、出雲[[国造]]と同祖の神々を祀る神社が周辺にも点在していることから、出雲との関連性が指摘されています。

歴史

六国史には記録がないものの、平安時代中期の『延喜式』神名帳には名神大社として記載されており、古くから重要な神社として認識されていたことが分かります。

鎌倉時代初期には、領主の笠間時朝が当社で歌会を催しており、その歌が『新和歌集』に収録されています。室町時代末期には兵火で社殿が焼失しましたが、慶長7年（1602年）に伊奈忠次によって再建されました。その後、江戸時代には徳川光圀が参詣し、社宝の四神旗を奉納しました。

社殿は弘化2年（1845年）に再び焼失しましたが、嘉永元年（1848年）に再建され、明治時代には県社に列しました。

境内と摂末社

境内には、以下の摂末社が鎮座しています。

手摩乳神社：祭神は手摩乳命で、縁起にある「父母の宮」の父宮です。
脚摩乳神社：祭神は脚摩乳命で、縁起にある「父母の宮」の母宮です。
八雲神社：祭神は素盞鳴尊で、縁起にある「夫婦の宮」の夫宮です。

これらの他にも、境内にはいくつかの社が祀られています。

境外社

本宮（奥の院）は、本社の北西約300メートル、稲田山中腹に鎮座しています。ここは、本社の旧鎮座地と伝えられています。

祭事

稲田神社では、年間を通して様々な祭事が行われます。

初祈祷：1月1日
節分祭：2月3日（閏年は4日）
祈年祭：2月19日
祇園祭：7月30日。素盞鳴尊と奇稲田姫命が本宮で再会した故事に由来する祭りで、神輿が本宮で一夜を過ごします。
例大祭：11月17日

文化財

稲田神社には、以下の文化財があります。

四神旗：元禄11年（1698年）に徳川光圀によって奉納された4旒の旗で、青竜（東）、白虎（西）、朱雀（南）、玄武（北）の四神獣が描かれています。茨城県指定有形文化財です。

現地情報

所在地：茨城県笠間市稲田763
* 交通アクセス：JR水戸線稲田駅から徒歩約15分

稲田神社は、豊かな自然に囲まれた、歴史と文化の息づく場所です。訪れる人々に、深い安らぎと感動を与えてくれるでしょう。

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