稲葉弘通

稲葉 弘通（いなば ひろみち）

稲葉弘通は、豊後国の臼杵藩において第10代藩主として知られています。彼の生涯は、家族の背景や藩政の厳しい状況と密接に関連しています。弘通は長男として誕生しましたが、母が側室であったため、父の泰通は正室との間にもうけた次男の副通を嫡子として選びました。これが後の彼の運命に深く影響を与えることになります。

明和5年、弘通の父・泰通が亡くなると、その直後に副通が家督を継ぎました。しかし、副通は若年であったため、将軍との御目見いや次期藩主の指定をすることもなく、わずか1年後に夭折してしまいます。この状況下、藩の重役たちは急遽、弘通を次代の藩主として位置づけることに決めました。このため、副通は臼杵藩の歴代藩主として記録に残っていないのです。

弘通は、1790年に正室として国清院を迎えましたが、彼女は松野家の娘であり、弘通の母方の姪にあたります。藩政の運営にあたった弘通は、藩の財政が困窮していることを受けて、借上を行うなどの対策を講じました。しかし、天明の大飢饉が藩内を襲い、経済的な被害は深刻化します。さらに幕府からの指示で、美濃や伊勢の河川改修工事に駆り出され、その出費も重なり、藩の再建には至りませんでした。

弘通は藩政の難しさに直面しつつも、一定の長さで藩を治め続け、寛政12年に次男の雍通に家督を譲って隠居生活に入ります。その後、文化8年には剃髪し伊賀入道と名乗るようになります。

彼の死は文政元年、1818年のことです。67年の生涯の中で、彼が臼杵藩の運営に尽力したことは間違いありませんが、様々な外的要因によってその努力は実を結ばなかった部分も多かったことでしょう。

系譜

父母

• - 父: 稲葉泰通
• - 正室: 清操院（牧野貞通の娘）

妻

• - 正室: 国清院（牧野貞長の娘）
• - 側室: 津田氏

子女

• - 長男: 稲葉侯通
• - 次男: 稲葉雍通（生母は津田氏）
• - 三男: 稲葉通臧
• - 四男: 稲葉通度

脚注・関連項目

彼の生涯は藩主のすり替えの事例としても知られる要素を含んでおり、末期養子の制度や藩主としての立場の継承について考察する上で興味深い様相を呈しています。

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