牧野貞長

牧野貞長について

牧野貞長（まきの さだなが）は、江戸時代中期に活躍した大名であり、常陸笠間藩の第5代藩主です。成貞系牧野家の出身で、奏者番、寺社奉行、大坂城代、京都所司代といった幕府の要職を歴任し、最終的には老中として幕政に参画しました。

生い立ちと家督相続

貞長は、牧野家4代当主・牧野貞通の五男として江戸の藩邸で生まれました。幼名は道五郎、後に沢翁と称しました。長兄の忠敬が越後長岡藩主となったこと、次兄の貞隆が早世したことから、寛延2年（1749年）に家督を相続し、笠間藩主となりました。

幕府での活躍

貞長は、宝暦9年（1759年）に奏者番に任じられ、その後、安永6年（1777年）に大坂城代、天明元年（1781年）には京都所司代へと順調に昇進しました。天明4年（1784年）から寛政2年（1790年）までの7年間は、老中として江戸幕府の中枢を担いました。その政治的才能は父・貞道にも劣らず、物事の決断力に優れ、その卓越した手腕から人々から尊敬を集めました。老中在任中は、的確な政策を次々と打ち出し、将軍徳川家治・家斉からの信頼も厚かったと伝えられています。

また、貞長は慈愛心に厚い人物としても知られており、閣老時代には多くの孝子や義僕を表彰しています。

死去とその後

寛政8年（1796年）9月、64歳で病没しました。当初は江戸深川の要津寺に埋葬されましたが、後に改葬され、現在は笠間市笠間の盛岸院に眠っています。

年表

1733年（享保18年）11月21日：誕生
1769年（明和6年）8月26日：寺社奉行に就任
1777年（安永6年）9月15日：大坂城代に就任
1781年（天明元年）閏5月11日：京都所司代に就任
1784年（天明4年）5月15日：老中に就任
1790年（寛政2年）2月2日：老中を辞任
1796年（寛政8年）9月30日：死去（享年64歳）

系譜

父：牧野貞通
母：佐藤氏（側室）
正室：松平乗祐の次女
側室：間宮氏
子女：
牧野貞喜（長男）：正室の子
西尾忠善（四男）：正室の子、西尾忠移の養子
直三郎
幾五郎
近藤用倫（五男）
国清院：稲葉弘通正室
本多忠粛正室、後に秋元永朝継室
端冠院：間部詮熙正室

参考文献

* 田中嘉彦 著、茨城新聞社編 編『茨城県大百科事典』茨城新聞社、1981年、959頁。「牧野貞長」

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