空条承太郎

空条承太郎（くうじょうじょうたろう）は、荒木飛呂彦の漫画作品『ジョジョの奇妙な冒険』に登場する主要人物であり、Part3『スターダストクルセイダース』の主人公です。シリーズを通して、その圧倒的な強さとカリスマ性で多くのファンを魅了し続けています。

人物像

承太郎は、1970年または1971年生まれのみずがめ座の男性で、日本人である父とイギリス系アメリカ人の母を持ちます。身長195cm、体重82kgという恵まれた体格で、瞳の色はやや緑色、髪の色は黒です。父はジャズミュージシャンの空条貞夫、母はジョセフ・ジョースターとスージーQの一人娘であるホリィです。また、Part6では実娘である空条徐倫が登場します。

名前の由来について、作者の荒木飛呂彦は、「条」「承」と「じょう」と続くことだけを決め、漢和辞典から「空」の字を選んだと語っています。「承」の字には、ジョジョのテーマである「受け継ぐ」という意味が込められています。

承太郎は、常に冷静沈着で寡黙な人物として描かれていますが、その内には激情家で強い正義感を秘めています。敵の背後を突く戦法を好み、頭の回転が速く、口癖は「やれやれだぜ」です。外見は無愛想に見えますが、仲間や肉親を大切にする優しい一面も持ち合わせており、特に母親であるホリィからは深く理解されています。また、卑劣な悪党には容赦しない一方で、誇り高い敵には敬意を払うなど、独自の価値観を持っています。

シリーズを通して最も長く活躍した人物であり、作者のモデルは俳優のクリント・イーストウッドです。Part3では、改造された学帽と学ランを着用し、学帽には左手の平のマークが付いています。このマークは作品を象徴するマークとして、その後も様々な場面で登場します。服装は、横山光輝の漫画『バビル2世』の主人公の影響を受けています。Part4以降は帽子と厚手のコートを着用し、帽子には手の平マークとプリンスの古いマークが描かれています。

承太郎の帽子は、彼のトレードマークとして、後頭部と一体化しているかのように描かれており、作者はデザインとして、遠くから見ても彼だと分かるようにしたと述べています。

年齢に関する矛盾

承太郎の生まれた年は、資料によって記述に若干のずれがあります。単行本14巻では17歳のみずがめ座とされ、生年は明記されていません。単行本29巻では、1999年4月時点で28歳とされています。公式ファンブック『JoJo6251』では1970年生まれと記載されています。

第三部の年代設定についても、同様にずれが存在します。原作では具体的な年月の記述はありませんが、第四部では、主人公の東方仗助が1987年に高熱で倒れたというエピソードがあり、単行本の家系図ではDIOが倒されたのは1989年とされています。公式ファンブックでは、第三部の物語は1987年11月下旬から1988年1月上旬の出来事とされています。作者の著書では1988年が舞台とされていますが、公式ポータルサイトでは1989年とされています。

劇中での活躍

Part3『スターダストクルセイダース』

17歳の高校生として登場し、100年前に海に沈んだはずのDIOの復活により、スタンド能力に目覚めます。重体になった母ホリィを救うため、祖父のジョセフや仲間たちとともに、DIOを倒すべくエジプトを目指します。数々の敵スタンド使いとの激闘を繰り広げ、カイロでのDIOとの最終決戦では、スタンドの真の能力を覚醒させ、見事DIOを撃破します。

普段は粗暴な振る舞いから不良と見なされていますが、幼少期は大人しい子供でした。しかし、その頃から「やる時はやる」性格だったようです。周囲の女性からの人気は高いものの、本人は煩わしく思っています。未成年でありながら飲酒や喫煙の習慣があり、奇妙な特技を持っています。また、大相撲好きで、料理が不味い店では無銭飲食をするなど、ユニークな一面も持っています。

Part4『ダイヤモンドは砕けない』

28歳となり、海洋学者として活躍しています。ジョセフの遺産整理中に、隠し子である東方仗助の存在を知り、杜王町を訪れます。さらに、殺人鬼アンジェロが潜伏していることを知り、仗助と協力して事件を解決します。この事件をきっかけに、スタンド使いを生み出す「弓と矢」の存在を知り、調査のために町に滞在します。

性格は以前と変わらず激情的な面もありますが、言動は落ち着き、社会人として成長しています。仗助たちからは豊富な知識と経験から尊敬され、敵からも警戒されています。しかし、スタープラチナの能力を知られているため、対策を講じられて重傷を負うこともあります。

Part5『黄金の風』

30歳となり、広瀬康一にDIOの遺児であるジョルノ・ジョバァーナの調査を依頼します。康一の報告からジョルノがスタンド使いだと分かると、危険を避けるため調査を打ち切ります。

物語上では、一人称に「わたし」を用いるようになります。また、1990年代初めからポルナレフと共同で「弓と矢」の調査をしていたことが明かされます。

Part6『ストーンオーシャン』

40歳となり、DIOの元部下によって投獄された娘の徐倫を救うため、脱獄の手引きをします。しかし、プッチ神父の襲撃により、スタンドDISCを奪われ仮死状態となります。その後、徐倫によって復活し、プッチ神父との最終決戦に挑みますが、徐倫を庇って命を落とします。

家庭を顧みず仕事に打ち込んでいたため、家族との関係は悪く、特に徐倫からは憎まれていました。しかし、それは妻子を戦いに巻き込みたくないという思いからであり、後に徐倫と和解し、親子の絆を取り戻します。

スタンド：スタープラチナ

スタープラチナは、人型のスタンドで、桁外れのパワー、スピード、精密動作性を持っています。射程距離は短いものの、近距離戦では圧倒的な強さを誇ります。決め技は「オラオラオラオラ…オラァ!!」の掛け声とともに拳の連打を繰り出す「突きの連打（オラオラのラッシュ）」と、指先を伸ばして敵を貫く「流星指刺（スターフィンガー）」です。

スタンドの暗示・名前の由来は、タロットカードの「星」であり、モハメド・アヴドゥルによって命名されました。近距離パワー型の原型であり、その強さから「完成された」「最強」のスタンドとされています。

当初は顔が承太郎に似ていましたが、物語が進むにつれて変化していきました。また、スタンドが自我を持っているかのような描写や、射程距離外から物体を持ってくることもありました。

スタープラチナ・ザ・ワールド

Part3の最終決戦で、DIOの「ザ・ワールド」と同じ「時を止める」能力に目覚めます。当初は短い時間しか止められませんでしたが、DIOとの戦いの中で成長し、最大で5秒間まで時間を止められるようになります。この能力は「スタープラチナ・ザ・ワールド」と名付けられ、スタンド名として扱われることもあります。

スタープラチナ・オーバーヘブン

ゲーム『アイズオブヘブン』に登場する能力で、「真実を上書きする」能力を持ちます。敵の能力を無効化したり、死んだ人物を生き返らせたりすることができますが、能力の発動には大量の精神エネルギーを消費し、時間も要します。

声優・俳優

承太郎は、様々なメディアで複数の声優・俳優によって演じられています。アニメ版では小野大輔、ゲーム版では小杉十郎太、実写映画では伊勢谷友介が演じています。

空条承太郎は、その強さ、カリスマ性、そして人間的な魅力を持ち合わせた、ジョジョシリーズを代表するキャラクターの一人です。

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