突山島

突山島（トルサンド）

突山島は、大韓民国南部に位置する全羅南道麗水市に属する、歴史ある島です。行政区分上は麗水市の一部を構成する突山邑に含まれており、この突山邑を形成する島々の中で最も大きな面積を占める存在です。突山邑全体で見ると、その陸地面積の実に96パーセントを突山島一島が占めており、文字通り邑の中心をなす島と言えます。さらに、大韓民国全体で見てもその規模は大きく、国内で7番目に広い島として知られています。

かつては本土から隔てられた離島でしたが、現在は陸路でのアクセスが可能です。島と本土である麗水半島との間には、複数の連陸橋が架けられています。最も象徴的なのは、1984年12月に完成した突山大橋です。この橋は全長450メートル、幅11.7メートルの規模を持ち、島への主要な玄関口として長らく機能してきました。突山大橋の完成により、島民生活や産業、観光に大きな変化をもたらしました。また、突山大橋に加えて、後年に完成した亀船大橋も、本土との重要な連絡路として交通の利便性を高めています。これらの橋の存在は、突山島がもはや孤立した島ではなく、本土と一体となった地域として発展していく基盤となっています。

島の中心部には、地域行政を司る麗水市突山庁舎が置かれています。これはかつて麗川郡庁が置かれていた場所であり、歴史的に地域の行政中心地としての役割を担ってきた場所です。行政機能が集約されていることは、島民生活にとって重要な要素となっています。

突山島の経済活動は、古くから豊かな自然を活かしたものが中心です。島で暮らす人々のおよそ3分の1が農業に携わっており、主要な生業の一つとして島の景観や文化を支えています。農業に次いで多くの人々が従事しているのが漁業です。温暖な気候と肥沃な土地、そして周辺の豊かな海は、多様な農水産物をもたらしています。

農業では、米や麦といった主食となる穀物をはじめ、サツマイモ、ジャガイモ、ニンニクといった地域特産の野菜類が主に栽培されています。これらの農産物は、島の食料供給を支えるとともに、地域経済においても重要な役割を果たしています。一方、島の周囲の海域は魚介類が豊富で、漁業も盛んに行われています。沖合ではサワラやイワシ、太刀魚などが豊富に水揚げされ、新鮮な海の幸として島内外に流通しています。さらに、波穏やかな湾部では養殖業も重要な産業として営まれています。特にカキやイガイの養殖は古くから行われており、突山島の水産業を支える大きな柱の一つとなっています。農業、漁業、養殖業といった第一次産業は、島の経済基盤であるだけでなく、島民の生活様式や地域文化と深く結びついています。

突山島の海岸線は、場所によってその特徴が大きく異なります。島の南東側の海岸は、長年の浸食によって形成されたと見られる岩石がほとんどを占めており、力強く荒々しい自然景観を呈しています。切り立った崖や奇岩が見られる場所もあります。これに対し、島の西側の海岸には、潮の干満によって広がる干潟が比較的多く見られます。この干潟は、多様な底生生物や鳥類が生息する豊かな生態系を育んでおり、自然環境保護の観点からも重要なエリアです。異なる表情を持つ海岸線は、島の多様な自然環境を物語っています。

突山島は、広大な面積と豊かな自然環境、そして連陸橋による本土との交通の利便性を兼ね備えた島です。農業、漁業、養殖業といった伝統的な産業が栄える一方で、行政の中心地としての機能も持ち合わせています。韓国国内でも有数の規模を誇るこの島は、その多様な魅力により、今後も重要な地域であり続けるでしょう。

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