突撃ダンスホール

突撃ダンスホール：イカ天を制した青春の熱きサウンド

1980年代後半から90年代初頭にかけて活躍した日本の音楽バンド、突撃ダンスホール。高校時代の同級生5人によって結成され、その名を全国に知らしめたのは、1989年に一世を風靡した音楽番組『三宅裕司のいかすバンド天国』（イカ天）への出演でした。

彼らは当初、別のバンド名で活動していましたが、ダンスホールでのパーティー出演を機に「突撃ダンスホール」へと改名。このインパクトのあるバンド名は、後に彼らのアイデンティティを象徴する存在となります。バンド名の由来には、同時期に活躍した「突然段ボール」というバンドへのオマージュが含まれているという説も伝わっています。

1989年6月17日、突撃ダンスホールはイカ天のステージに立ちます。演奏曲は「オレンジ色の風」。その勢いは凄まじく、3週連続でキングの座に就いていた強豪バンド「セメントミキサーズ」を破り、見事8代目イカ天キングの称号を手にしました。スタジオには「イカ天の父かえる」と書かれた横断幕が掲げられており、まさに蛙がカエル（セメントミキサーズを倒す）という、ドラマチックな展開となりました。セメントミキサーズはメンバーの多くが30代であったことから、若き突撃ダンスホールの勝利は大きな話題を呼びました。

続く6月24日放送では、新たな楽曲「メリーゴーランド」で連覇を目指しました。タイトルコールでは「メリーゴーランドより愛をこめて」とアレンジされ、そのメロディアスなサウンドは多くの視聴者の心を掴みました。しかし、相手は当時イカ天屈指の実力者と謳われたギタリスト、鴨下信吾を擁する「ダイヤモンズ」。惜しくも敗れはしたものの、彼らの実力は広く認められることとなります。

突撃ダンスホールの活躍は、イカ天にとどまりませんでした。人気絶頂期には、東京地区ローカルで放送されたさくらやのCMにも出演。幅広い世代への知名度を獲得するなど、彼らの存在感は当時確実に社会に浸透しつつあったのです。

突撃ダンスホールの音楽性は、彼らの青春時代そのものを反映したものでした。メンバー全員が高校時代の同級生ということもあり、バンド活動は単なる音楽活動という枠を超え、彼らの友情や青春の軌跡を刻み込んだ特別な時間だったと言えるでしょう。

彼らにとって大きな影響を与えたバンドの一つに「突然段ボール」が挙げられます。突撃ダンスホールが出場したイカ天の放送を、突然段ボールのメンバーも視聴していたというエピソードは有名です。その後、10月14日放送のイカ天に突然段ボールが出場するきっかけとなったとも言われています。

興味深いことに、突撃ダンスホールが出場した前週には「爆撃ロマンタイムス」という、似た名前のバンドが出場していました。しかしながら、両バンドの関係性については、現時点では不明です。

彼らの楽曲は、青春時代の高揚感や切ない感情を巧みに表現しています。代表曲「メリーゴーランド」は、後にアルバム『メリーゴーランド』（1989年、UKP - UKプロジェクト）に収録され、続く『メリーゴーランドの失恋』（1990年5月25日、UKP - UKプロジェクト）では、より深みのある音楽性を披露しています。これらの楽曲は、今でも多くのリスナーから支持され続けており、彼らの音楽的才能を物語っています。

突撃ダンスホールは、11年間という長い期間活動を続けました。彼らの音楽は、青春時代の情熱や友情、そして音楽への純粋な情熱を凝縮したものであり、多くの人々の心に深く刻まれています。イカ天という大きな舞台で輝きを放った彼らの存在は、日本の音楽史に確実にその名を刻んでいます。

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