窪徳忠

窪 徳忠（くぼ のりただ）について

窪徳忠は、日本の宗教民俗学を代表する学者で、1913年9月25日に東京で生まれました。彼は東京帝国大学の東洋史学科を1937年に卒業し、その後東京府立豊島師範学校の教諭として教育の道に進みました。彼の生涯は、宗教や文化に対する深い探究心に裏打ちされており、特に道教や庚申信仰に関する研究が注目されています。

学術的経歴と業績

彼の軍務に従事していた1938年から1942年にかけて、戦争に徴集される一方で、東方文化学院の研究員として活動。1949年には東京大学の東洋文化研究所助教授に就任しました。特に注目されるのは、彼が40歳の頃に提唱した庚申信仰の起源に関する見解です。従来の日本固有説に対立し、中国からの道教の影響を示す三尸説なる新たな仮説を打ち立て、実地調査を通じてその裏付けを行いました。

1962年、東京大学から文学博士の学位を取得し、1964年に教授に昇進。彼の研究は日本各地に及び、道教が日本に伝わる過程やその変容を追求しました。1973年には東洋文化研究所長に就任し、その後75年に定年退官という形で名誉教授となりました。

学術の場を超えて彼は文教大学や二松学舎大学、そして鶴見大学でも教授として教育に尽力し、1984年には定年を迎えました。文化や教育に対する貢献が評価され、紫綬褒章や勲三等旭日中綬章を受章しています。

主な著作

窪の著作は多岐にわたり、その著書としては『道教と中國社會』（1948年）、『庚申信仰』（1956年）、『庚申信仰の研究 日中宗教文化交渉史』（1961年）、『道教入門』（1983年）などがあり、学術の発展と実地研究の重要性を説きました。それらの作品を通じて彼の研究成果が広く伝えられ、道教や庚申信仰に関する理解が深まりました。特に、『庚申信仰の研究』シリーズは彼の重要な業績の一つとして位置づけられています。

彼の業績は日本の宗教民俗学の分野に多大な影響を及ぼし、異文化との接触や宗教の多様性に関する研究に対する新しい視点を提供しました。また、1997年からは沖縄国際大学南島文化研究所において、彼の名前を冠した「窪徳忠琉中関係奨励賞」を設け、沖縄と中国の文化に関する研究を奨励しています。

最後の歳月

窪徳忠は2010年10月2日に、心不全により97歳でこの世を去りました。彼の死去は多くの学者や学生にとって大きな損失でしたが、その業績や思想は今なお日本の宗教民俗学の発展に貢献しており、彼の名は研究の中で生き続けています。彼の探求し続けた文化間の関係や宗教的なテーマは、現代においても重要な示唆を与えていると言えるでしょう。

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