窪田将治

窪田 将治

1974年5月9日、宮崎県宮崎市に生まれる。映画監督、演出家、脚本家、そして劇作家と、その活動は多岐にわたるクリエイターである。

日本映画学校（現・日本映画大学）にて学び、脚本家の池端俊策氏、映画監督の細野辰興氏から指導を受けた。卒業後、1997年からは自主映画の制作に励む一方、ミュージックビデオやファッションショーの映像演出など、幅広い分野でキャリアを積んだ。

劇場公開映画監督としての第一歩は、2006年11月公開の『zoku』であった。その後、2009年6月には女子プロレスの世界を描いた『スリーカウント』で長編映画監督デビューを果たした。

2010年には、監督5人が同一条件で制作したオムニバス映画『ちちり』の企画・プロデュースを手掛けた。同年4月には、江戸川乱歩の短編小説を基にした『失恋殺人』で監督と脚本を担当。この作品は第34回モントリオール世界映画祭の「Focus on World Cinema」部門に正式出品され、国内外で好評を博した。

モントリオール世界映画祭での評価は続き、社会派ドラマ『CRAZY-ISM クレイジズム』（2011年4月公開、主演：馬場良馬）、ゲイではない女装娘を描いた異色作『僕の中のオトコの娘』（2012年12月公開、主演：川野直輝）も同部門に立て続けに選出され、3年連続出品という実績を築いた。

その後も精力的に作品を発表。小劇団を舞台にした『夜明け前 朝焼け中』（2013年11月）、再び女子プロレスをテーマにした『太陽からプランチャ』（2014年6月）などを監督・脚本した。2015年には再び江戸川乱歩の世界に挑み、『D坂の殺人事件』『屋根裏の散歩者』といったエロティック・シリーズを立て続けに制作。同年には、俳優・近藤芳正が映画初主演となった『野良犬はダンスを踊る』も手掛け、この作品で自身4度目となるモントリオール世界映画祭「Focus on World Cinema」部門への正式出品を達成した。

映画監督生活10周年を迎えた2016年には、記念特集上映として『CRAZY-ISM クレイジズム』『僕の中のオトコの娘』『野良犬はダンスを踊る』の3作品が上映された。同年9月には劇団チャンピオンを旗揚げし、演劇にも活動の場を広げている。旗揚げ公演『戦士たちの憂鬱』では作・演出を手掛け、お笑いトリオ「鬼ヶ島」のアイアム野田氏が初の舞台出演・主演を務めた。

近年の活動としては、江戸川乱歩「赤い部屋」シリーズとして原作を現代に翻案した作品がある。「双生児」を原案とする『メビウスの悪女 赤い部屋』（2020年）、「畸形の天女」原案の『裸の天使 赤い部屋』、「悪魔人形」原案の『聖なる蝶 赤い部屋』（共に2021年）などが発表されている。

また、1996年から自身の映像展「鳴かぬなら俺が鳴こうホトトギス」を不定期開催しており、ショートフィルムに加え、写真や絵画など芸術性の高い多様な作品を発表している。さらに、テレビ番組の企画・演出や構成作家を務めるなど、その活動は映像や演劇にとどまらず多方面に及んでいる。社会派からエンタメ、そして乱歩の世界観まで、幅広いジャンルを手掛けるクリエイターとして、今後の動向にも注目が集まる。

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