立ち去った女

映画『立ち去った女』について

『立ち去った女』（原題：Ang Babaeng Humayo）は、2016年に公開されたフィリピンのドラマ映画です。監督、脚本、撮影、編集をラヴ・ディアスが務めました。この作品は、第73回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門で上映され、見事最高賞である金獅子賞を受賞しました。

主演は、ABS-CBNの社長兼CEO就任を機に女優業を休業していたチャロ・サントス＝コンチョ。本作は彼女の復帰作としても注目を集めました。

あらすじ

物語は、主人公のホラシア・ソモロストロが、自身が犯していない罪で投獄されたところから始まります。1997年に釈放された彼女は、娘との再会を喜びますが、夫の死、そして息子の失踪という悲しい現実を知ることになります。

社会は何も変わっていなかった。権力を持つエリート層は依然として特権を享受し、社会の不条理は続いていたのです。ホラシアは、自分を陥れた人物が、かつての恋人であり富豪のロドリーゴ・トリニダードであることを突き止めます。

ロドリーゴは、富裕層を狙った誘拐事件に巻き込まれ、自宅に軟禁状態に置かれていました。ホラシアは、この状況を利用し、復讐を計画し始めるのでした。

キャスト

ホラシア・ソモロストロ：チャロ・サントス＝コンチョ
その他：ジョン・ロイド・クルーズ、マイケル・デ・メッサ

制作

撮影と編集は監督のラヴ・ディアス自身が担当。サイン・オリヴィアとシネマ・ワン・オリジナルズが製作を手掛け、シネマ・ワン・オリジナルズの社長であるロナルド・アーゲルズが製作総指揮を務めました。

上映時間は約4時間と長尺ですが、観客を飽きさせない見ごたえのある作品です。ディアス監督は、本作がレフ・トルストイの短編小説「神は真実を見る、だがそれを待つ」からインスピレーションを得たと語っています。

公開

当初、本作は映画祭への出品を目的として制作されたものではありませんでした。しかし、ディアス監督は映画祭での上映も視野に入れており、国内外での上映が検討されました。また、第42回メトロマニラ映画祭への出品も検討されました。

2016年9月には、第73回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門に選出され、アジアの映画制作会社が単独で制作した作品としては唯一のコンペティション入りを果たしました。ディアス監督にとっては、同映画祭で3度目の上映となりました。

フィリピン国内では、2016年のシネマ・ワン・オリジナルズ映画祭で上映された後、商業公開が予定されました。当初は9月23日公開とされ、第89回アカデミー賞外国語映画賞フィリピン代表作の資格を得る予定でしたが、その後『ローサは密告された』が代表作に選ばれたため、9月28日に公開日が変更されました。

受賞

第73回ヴェネツィア国際映画祭：金獅子賞

外部リンク

立ち去った女 - allcinema
* The Woman Who Left - IMDb（英語）

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