立山山麓スキー場

立山山麓スキー場は、富山県富山市の原地区から粟巣野地区にかけて広がるスキー場の総称です。主に「極楽坂エリア」と「らいちょうバレーエリア」の二つの主要な部分から成り立っています。北陸地方を代表するスキー場の一つとして知られ、富山地方鉄道の本宮駅や立山駅からアクセスしやすい場所に位置しています。

極楽坂とらいちょうバレーの両エリアは隣接しており、ゲレンデの上部で相互に行き来することができます。また、「立山山麓共通券」を利用することで、隣の粟巣野スキー場を含む計三つのスキー場で滑走を楽しむことが可能です。

運営と名称の変遷

かつては、極楽坂とらいちょうバレー（および粟巣野スキー場）はそれぞれ異なる組織によって運営されており、「立山山麓スキー場」という名称は、これらの地域にあるスキー場全体を指す総称として使われていました。

しかし、2006年のシーズンから状況が変化しました。富山県が管理していたらいちょうバレースキー場が富山市へ移管されたのです。これに伴い、隣接する極楽坂スキー場を運営していた富山市出資の第三セクター、大山観光開発がらいちょうバレーの運営も担うことになりました。これにより、経営が一本化された二つのスキー場を改めて「立山山麓スキー場」と呼ぶことになり、それぞれの旧スキー場名を「極楽坂エリア」「らいちょうバレーエリア」と区分して呼称することになりました。

そのため、「立山山麓スキー場」という名称には、現在運営が一体化している極楽坂エリアとらいちょうバレーエリアから成るスキー場自体の名前という意味と、以前からの慣習で立山山麓地域にある三つのスキー場（極楽坂・らいちょうバレーエリアと粟巣野スキー場）全体を指す総称という意味の、二通りの使われ方があります。

らいちょうバレーエリア

富山県富山市本宮花切割に位置する立山山麓スキー場の東側にあたる部分です。2005シーズンまでは「らいちょうバレースキー場」という名称でした。元々は富山県企業局が約8億円を投じて建設し、1977年 1月15日に開業した富山県を代表するスキー場の一つです。約60ヘクタールの広さがあり、開業当初は県内初となるゴンドラリフト（4人乗り、総延長1,831m）を備えていました。過去には「県営極楽坂スキー場」や「県営ゴンドラスキー場」と呼ばれた時期もあり、「らいちょうバレー」という愛称が付けられたのは1992年度のことです。

コース

らいちょうバレーエリアには、初心者向けのユートピアゲレンデ、中上級者向けのパラダイスゲレンデ、上級者向けのパノラマコースなどがあります。ファミリー向けのコースが比較的充実している点が特徴です。パラダイスゲレンデの上部と中間部で極楽坂エリアと接続しています。2007年 3月15日にはパラダイスゲレンデで全日本スキー選手権大会フリースタイル競技が開催されました。

リフトとゴンドラ

かつてはユートピアゲレンデ西側にパラレルシングルリフトがありましたが、経営移管に伴う地権者との問題により運転できなくなり撤去されました。また、パラダイスゲレンデ西側の第4ペアリフトも運転を終了し施設が撤去されています。ユートピアゲレンデの地権者との契約問題により、2016-2017シーズンには一部リフトが運休しましたが、その後の交渉再開により撤去計画は中止されました。

特に大きな変化として、1977年設置のゴンドラリフトの老朽化問題がありました。2017年の点検で支柱に不具合が見つかり、詳細な調査の結果、多数の支柱や頂上駅の強度不足が判明しました。改修が困難と判断され、このゴンドラリフトと山頂駅は2020年秋までに撤去されました。

施設

ナイター設備（ユートピアゲレンデのみ）やレンタルショップ、スキースクール、スノーボードスクールなどが利用できます。無料駐車場は3ヶ所あり、合計1,400台収容可能です。

極楽坂エリア

富山県富山市原に位置する立山山麓スキー場の西側にあたる部分です。こちらは1964年 12月28日に大山観光開発株式会社によってオープンしました。2005シーズンまでは「極楽坂スキー場」という名称でした。富山市街地から比較的近く、牛岳温泉スキー場と並んでアクセスしやすいゲレンデです。らいちょうバレーエリアと同程度の利用者があります。

コース

極楽坂エリアには、ファミリー向けのファミリーゲレンデ（初級）のほか、チャレンジコース（中級）、ロマンスコース（中級）、ジャイアントコース（上級）、モーグルコース（上級）、エキスパートコース（上級）といった多様なコースがあります。らいちょうバレーエリアに比べ、上級者や競技者向けのコースが充実している点が特徴です。ジャイアントコースの上部と中間部でらいちょうバレーエリアと接続しています。

2000年に開催された第55回国民体育大会スキー競技会では、アルペンスキー競技のジャイアントスラロームがチャンピオン・チャレンジコースで、純ジャンプ競技が70m級ジャンプ台で行われました。かつて存在した金山ゲレンデ（旧国体男子コース）やエキスパートコース（旧国体女子コース）など、競技の歴史を持つコースもあります。

リフト

2007年度に運転を開始した第1ペアリフトを含め、複数のリフトが稼働しています。ただし、2024-25シーズン現在、第8、第9ペアリフトは使用されていません。これらは2000年の国体に合わせてシングルリフトからペアリフトに更新されたものです。過去には利用者の少ないシングルリフトや、上部西端のアルペンコース（旧金山ゲレンデ）への第11シングルリフトなどが廃止されています。

施設

ナイター設備（ファミリーゲレンデ）がありますが、2009-2010年シーズン以降は極楽坂エリアでのナイター営業は行われていません。レンタルショップやスキースクール、スノーボードスクールが利用できます。無料駐車場は2ヶ所あり、合計1,200台収容可能です。また、農山村交流センターも併設されています。

利用状況

立山山麓スキー場（極楽坂エリアとらいちょうバレーエリア合計）の年間利用客数は約23万人（極楽坂エリア約11万人、らいちょうバレーエリア約12万人）です。利用者の大半は富山県内からの来場者であり、粟巣野スキー場と合わせると、富山県全体のスキー場利用者数の約30%から40%を占める主要なスキー場です。

オフシーズンの利用

冬季のスキーシーズン以外にも、立山山麓スキー場周辺では様々な活動が楽しめます。旧ゴンドラ降り場から少し歩いた第5ペアリフト降り場付近には展望台があり、晴れた日には富山湾や能登半島、そして雄大な立山連峰の素晴らしい眺めを一望できます。展望台広場には、幸せの鐘「ハッピーツイン・ベル」も設置されています。

近年はトレッキングコースの整備が進み、ゲレンデ周辺でのトレッキングが楽しめるようになりました。山麓付近ではイベントが開催されることも多くあります。その他にも、立山山麓家族旅行村ではキャンプやパークゴルフ、フィールドアスレチックといった施設が利用できます。また、立山パラグライダースクールではパラグライダーの体験も可能です。

2011年からは、らいちょうバレーエリアの旧ゴンドラ山頂駅付近で、木々の間に張られたワイヤーを滑車で滑り降りる「ジップラインアドベンチャー立山」が運営されています。全長48mから158mまで、合計6つのコースが設けられています。

もう一度検索