立志社の獄

立志社の獄の詳細

立志社の獄（りっししゃのごく）は、1877年に発生した西南戦争に関連する歴史的な事件である。この事件は、立志社の指導者であった林有造や大江卓が、元老院議官の陸奥宗光らとともに高知県において挙兵を計画したものの、様々な理由から失敗し、その結果、厳しい処罰を受けることになった。

背景と経緯

1877年4月、九州での西南戦争が幕を開けると、立志社のメンバーたちは挙兵を決定した。彼らは大阪鎮台を攻撃する計画を立て、約3000挺の銃器を購入するための資金を調達しようとした。しかし、資金調達が思うように進まず、その間に西郷軍が敗退してしまう。また、挙兵計画が露見してしまったことで事態は急速に悪化する。最終的には1877年8月にこの事件は発覚し、林と大江を含む首謀者たちとともに、高知にいた幹部の片岡健吉らが逮捕されることとなった。

その後、事件の首謀者たちは明治10年（1877年）8月に大審院で有罪判決を受けることになった。この一連の出来事は、立志社の指導者たち、特に板垣退助や後藤象二郎に直接的な関与は無かったと考えられている。片岡もまた、林や大江といった過激派の首謀者による巻き添えを受けた形と言える。

板垣退助の役割

当時、立志社の指導者であった板垣退助は、冗談半分に「もはや武装決起して政府を変える時代では無い」と述べており、彼は武装決起を決して支持しなかった。西南戦争の結果を受け、さらに若い頭山満が高知に訪れた際にも、板垣は同じ考えを示した。彼は言論によって社会を変えるべきだと諭し、暴力によって政権を覆すという選択肢を否定したのだ。

頭山満は一度帰郷した後も再び高知を訪れ、自由民権の思想を学びながら街の動きを見つめていたが、立志社内部では一部の過激派が抑えが効かない状況に陥っていった。その結果、事件に関与した参加者が増え、混乱が広がることとなった。

明治政府の対応

明治政府は、この事件の責任を板垣や後藤にまで追及することを危惧していた。彼らを責め立てれば、逆に自由民権派の間で再び「第2の西南戦争」が引き起こされる恐れがあったため、政府はその影響を考慮し、彼らへの責任追及を避ける方針を取った。結局、政府はこの問題の収束を図ることに専念した。

まとめ

立志社の獄は、明治時代の日本における政治的動乱を象徴する事件であり、自由民権運動の内部分裂を浮き彫りにした。武力による変革を求める過激派と、理論や言論を以っての改革を支持する者たちとの対立は、今後の日本の政治運動に大きな影響を与えることとなった。

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