大江卓

大江卓の生涯と業績

大江卓（おおえたく、1847年11月2日 - 1921年9月12日）は、日本の政治家であり実業家でありました。彼は土佐国幡多郡柏島（現在の大月町）出身で、幼名は秀馬、後に斎原治一郎と名乗りました。義父は後藤象二郎で、妻はその次女小苗です。

幕末期の活動

大江は幼少期を過ごした後、長崎へ赴き、さらに京都に移りました。慶応3年（1867年）には土佐陸援隊に参加し、倒幕運動に身を投じます。この活動を通じて坂本龍馬や中岡慎太郎、陸奥宗光などの著名な志士たちと交流を深めました。

新選組との交戦

坂本龍馬と中岡慎太郎が亡くなった後、大江は海援隊の一員として紀州藩士への報復を決意します。1868年12月7日、彼は沢村惣之丞や他の陸援隊士と共に紀州藩士・三浦休太郎を襲撃し、新選組との衝突に至る「天満屋事件」が発生します。

明治維新以後の活動

明治元年、神戸外国事務所に移り、事件の処理などを行っていましたが、高知出身という理由で新政府内で冷遇されていました。しかし、1872年になると、陸奥宗光に引き抜かれ、神奈川県の参事となり、彼の補佐役として神奈川や横浜の近代化に尽力しました。これにより、警察制度の整備や外交政策の基盤を築くことに成功しました。

特に「マリア・ルス号事件」では、外務卿副島種臣から権令（県副知事）に任命され、232名の清国人奴隷を解放することに貢献しました。この功績により、在日華僑から感謝の意を表し大旆が贈られました。

政治活動と実業への転身

1877年には土佐挙兵計画に関与し、結果として禁固刑により岩手監獄に収監されます。彼の妻は小苗で、彼の子供は福沢諭吉のもとで育てられました。1890年には初の衆議院議員選挙で当選し、立憲自由党に所属し予算委員長になります。軍事費の大幅な削減を企画し、成功裏に議会を通過させましたが、次回選挙で落選し、政界から足を洗い、実業界へとシフトします。

1892年には東京株式取引所の頭取に就任し、翌年には取引所法施行に伴い初代理事長となります。しかし、1898年には支持者の後藤象二郎を失い、翌年の「北炭株買占め事件」に関与したとの理由で辞任しました。

晩年と公道会の設立

大正時代に入ると、大江は朝鮮京釜鉄道の建設に参加し、さまざまな地域で活動しました。さらに、1914年には板垣退助を会長に迎え、同和解放のための組織「帝国公道会」を設立し、部落解放に関する融和運動にも携わりました。1913年に僧侶として得度し、大江天也と名乗るようになります。

大江の死とその後の影響

1921年、胃癌により75歳でこの世を去りました。彼の没後には、横浜市内に大江橋と名づけられた橋が架けられ、初めてガス灯が灯された場所としても知られています。大江は多くの業績を残し、特に解放運動においてその名を歴史に刻む存在となりました。

また、彼の生涯に関する研究や評価が続いており、関連書籍や資料が数多く発表されています。彼の影響は当時から現代にかけて広がり続けています。

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