立身

立身（りゅうしん）について

立身とは、日本の冠位制度において649年から664年にかけて存在した位階の一つで、全19階の中で最も低い位置にありました。この冠位は、大化5年（649年）2月に導入され、過去には大化3年（647年）制定の七色十三階冠の中から改称されたものでした。特に「建武」と呼ばれていた位が、「立身」に変わったことが特徴的です。その際の記録は『日本書紀』に残されており、建武が初位や立身としても言及されていることが伝えられています。

立身は、最下位の冠位ではあるものの、律令制においては初位よりも高い地位として認識されていました。この点からも、その重要性が伺えます。立身の位は、天智天皇3年（664年）2月9日に冠位二十六階に改編され、大建と小建に分かれたことによって廃止されることになります。

叙位の記録

『日本書紀』の記録には、立身の冠位を授けられた具体的な人物の名前は記載されていないものの、いくつかの事例が確認されています。例えば、斉明天皇4年（658年）7月4日には、渟代郡の少領であった宇婆左に建武の位が与えられた記録があります。時期的に考えると、この出来事は立身に関連していると見られます。

さらに、名は明記されていないものの、柵養蝦夷の2人、渟代郡と津軽郡の勇健者各2人、都岐沙羅柵の判官などの位も、立身に相当すると考えられます。これらの例からは、冠位を正式には授与されていないが、柵や評の長官または次官として活動していた者たちの存在が示されています。これにより、立身が最下位であるとはいえ、様々な社会的役割に係わっていたことがわかります。

他の叙位の例

さらに翌年の659年3月には、阿倍比羅夫の遠征の功績を称えて、陸奥と越の国司にそれぞれ位を与えたことが記されています。その中で、国司には二階、郡司や主政に対しては一階の位が授与されたとされています。ただし、この時期には郡という制度が存在せず、評という単位が用いられていました。これにより、実際に援助を受けた者たちの地位についても多少の混乱が見られます。

終わりに

このように立身は、日本の法制度の変革と共に歴史的意義を持っていた冠位でした。冠位制度は、権力構造や社会的な地位の明確化に寄与したものと考えられ、後の律令制に大きな影響を与えました。「立身」という文字には、身を立てる、すなわち地位を確立するという言葉の響きを持つ重要な位置づけがあったのでしょう。

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