竜安府

竜安府（りゅうあんふ）は、中国の歴史において、明代から民国初期にかけて現在の四川省綿陽市北部に位置していた行政区画です。この地域は、その歴史の中で幾度も名称や管轄が変更されてきました。

竜安府の成立

竜安府の起源は、元朝時代の竜州に遡ります。元末期には、明玉珍によって竜州宣慰司が設置されました。明朝が成立すると、1373年（洪武6年）に再び竜州が置かれましたが、その後の数年間で組織や名称が何度か変更されています。

1381年（洪武14年）には、竜州は松潘等処安撫司と改称されました。しかし、1387年（洪武20年）には再び竜州という名称に戻り、1389年（洪武22年）には竜州軍民千戸所へと変更されました。1395年（洪武28年）には竜州軍民指揮使司に昇格しましたが、その後また竜州に戻されました。そして、1432年（宣徳7年）には竜州宣撫司と改称されました。

最終的に、1566年（嘉靖45年）に竜州宣撫司は竜安府へと改められ、府としての行政区画が確立しました。

竜安府の管轄

竜安府は四川省に属し、平武県、江油県、石泉県の3県を管轄していました。清朝時代には、さらに彰明県、陽地隘口長官司が加わり、4県1土司を管轄するようになりました。この期間、竜安府は地域行政の中心として機能し、経済や文化の発展を支えました。

竜安府の終焉

しかし、1913年、中華民国が成立すると、竜安府は行政区画としての役割を終え、廃止されました。これにより、竜安府の長い歴史に幕が閉じられました。

竜安府は、その成立から廃止までの間に、幾度もの変遷を経てきました。名称や管轄の変更は、当時の政治情勢や社会状況を反映しており、歴史を研究する上で重要な手がかりとなります。竜安府の存在は、この地域の歴史的な重要性を示しており、中国の地方行政制度の変遷を理解する上で欠かせない事例です。

もう一度検索