竜追い

竜追い（りゅうおい）について

竜追いは、詰将棋の技術の一つとして知られ、特に長編の詰将棋の製作において重要な手法とされています。この技法は、竜王（以下では「竜」と記す）が相手の玉を追い込む過程で成り立っています。

概要

竜追いの基本的な動作は、竜を玉の近くに置き、玉が逃げる方向を制限しながら追い込むことです。具体的には、図にあるように、竜を1九に配置すると、玉は2七に逃げるしかなくなります。さらに、次の手で竜を2八に動かすと、玉は再び逃げ場を失い、3六に移動せざるを得ません。このようにして、竜は次第に枚数を減らしながら玉を追いつめていきます。竜が玉の隣にいる限り、玉は常に竜とは逆方向の斜めのマスへと移動します。そのため、竜も斜めに動くことが多く、手数が増加することになります。

玉の隣に竜がいる場合、王手が可能になるため、通常はそのために角を使用しますが、条件によっては銀や金などの小駒を使うこともあります。

歴史

竜追い技法は、早くから詰将棋の作品で見られました。初めての竜追い問題とされるのは、五代大橋宗桂の『象戯手鑑』28番に遡ります。この作品では、収束の過程に竜追いの技術が使われています。また、三代大橋宗与の『将棋養真図式』においても、斬新な盤面の往復を利用した問題が作られています。

その後、三代伊藤宗看と彼の兄弟である八代大橋宗桂・伊藤看寿も同様に竜追いを活用した長編作品を発表しています。彼らの作品は、竜追いをテーマにした問題が全て100問題目に収録されており、特に『将棋無双』100番「大迷路」という作品では163手詰が見られます。1955年には奥薗幸雄が「新扇詰」を発表し、この作品でも長手数の記録を更新しましたが、それも竜追いを用いた技法に基づいています。

技術の発展に伴い、馬鋸や持駒変換などの新しい手法が登場し、竜追いを適用した作品も創作され続けています。2008年には、歴史上3位の長編とされる「アトランティス」が発表されました。また、橋本孝治によるミクロコスモスは、馬鋸とと金ベルトを組み合わせて作られており、技術の幅広い応用を示しています。

脚注

さらに多くの情報や関連作品については、角建逸著の「詰将棋探検隊」などを参照すると良いでしょう。この分野の研究はまだ続いており、常に新しい挑戦と技術が求められています。

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