竜門岳

竜門岳（りゅうもんがだけ）

概要

竜門岳は、奈良盆地と吉野地方を隔てるようにそびえる、高見山地の西側に位置する龍門山地の主峰です。この山は、紀の川（吉野川）水系の支流である津風呂川と、淀川水系の支流である宇陀川の分水嶺上にあります。

古くから、竜門岳は歴史と伝説の舞台となってきました。かつて吉野側の中腹、龍門滝の近くには、南北朝時代の武将・楠木正行の妻、弁ノ内待が隠れ住んだと伝えられる龍門寺がありました。この寺は、太平記にも登場する由緒ある寺院でしたが、応仁の乱を機に廃寺となり、現在はその遺跡が静かに佇んでいます。また、龍門滝のそばには、『今昔物語集』で名高い久米仙人が修行したとされる窟跡も残っており、神秘的な雰囲気を醸し出しています。

さらに、北西側の細峠付近には、俳人・松尾芭蕉が元禄元年に吉野を訪れた際に詠んだ句碑が建てられています。この句碑は、芭蕉がこの地で感じた自然の美しさを今に伝えています。山頂には、高皇産霊神を祀る祠があり、一等三角点「竜門岳」が設置されています。山頂からの眺望は素晴らしく、西側には葛城山や金剛山などの山々を一望することができます。

登山ルート

竜門岳への登山ルートは、主に南側と北側の二つがあります。

南側ルート:
吉野山口神社（標高230m）を起点とし、龍門滝（標高310m）と龍門寺跡を経由して山頂に至ります。このルートは、歴史的な史跡を巡りながら登山を楽しめるのが特徴です。

北側ルート:
桜井側から不動滝（標高350m）を経由し、大峠（標高770m）と三津峠（標高740m）を通って山頂に到達します。こちらのルートは、より自然豊かな景観を楽しむことができます。


竜門岳は、歴史的な背景と美しい自然が調和した魅力的な山です。登山を通じて、その魅力を存分に感じてみてください。

脚注・参考文献

ウィキメディア・コモンズには、竜門岳に関するカテゴリがあります。

関連項目

日本三百名山
楠木正行
松尾芭蕉
龍門寺
久米仙人
葛城山
金剛山

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