童貞ペンギン

『童貞ペンギン』(原題: Farce of the Penguins)は、2007年に公開されたアメリカ合衆国制作のR-15指定コメディ映画です。2005年に公開され大ヒットしたドキュメンタリー映画『皇帝ペンギン』を大胆にパロディ化しており、タイトルからもそのユーモラスな作風が見て取れます。邦題の「童貞」と原題の「Farce（茶番劇）」は、作品全体の軽妙な雰囲気を巧みに表現しています。

監督・脚本・主演を務めたのは、コメディアンとして知られるボブ・サゲット。彼は、本作で主人公である童貞ペンギンのカールを演じています。さらに、サゲットが出演していた人気テレビシリーズ『フルハウス』のキャスト、ジョン・ステイモス、デイブ・クーリエ、ロリ・ロックリン、スコット・ウェインガー、そしてジョディ・スウィーティンも本作に出演していることから、当時話題となりました。日本でも2007年7月14日に配給会社ムービーアイにより公開され、シアターN渋谷をはじめ全国の劇場で上映されました。

物語は、南極に生息するコウテイペンギンたちの繁殖期を舞台に展開します。理想の相手との出会いを夢見る童貞ペンギン、カール。彼の恋の障害となるのは、タフガイを気取るもののどこか間の抜けたジミーといったライバルペンギンたちだけではありません。ゲイペンギンによる妨害や、恋の駆け引きといった予想外の出来事が次々と起こります。70マイルもの距離をメスの待つコロニーへと向かう過酷な旅路は、笑いと感動の連続です。一方、メスのペンギンたちも、メリッサやヴィッキーといった個性豊かな面々がおり、それぞれが恋愛やセックスへの期待を胸に秘めています。

豪華な声優陣も本作の魅力の一つです。ナレーターにはサミュエル・L・ジャクソン、カール役にはボブ・サゲット、ジミー役にはルイス・ブラックといった、ハリウッドを代表する実力派俳優たちが名を連ねています。さらに、クリスティナ・アップルゲート、モニークといった人気女優や、ジェームズ・ベルーシ、ジェイソン・アレクサンダー、ジェイソン・ビッグス、トレイシー・モーガン、ノーム・マクドナルド、デーン・コック、ウーピー・ゴールドバーグ、エイブ・ヴィゴダ、アダム・ドゥーリッツ、カルロス・メンシア、ジェイミー・ケネディ、そして『フルハウス』のキャストといった多彩な顔ぶれが、個性豊かなペンギンたちに命を吹き込んでいます。

『童貞ペンギン』は、ペンギンの生態をリアルに描いたドキュメンタリー映画のパロディでありながら、そのユーモラスな描写と豪華なキャスト、そしてR-15指定ならではの大人向けの笑いによって、多くの観客を魅了しました。単なるパロディにとどまらず、人間社会の恋愛や人間関係をペンギンの世界を通して風刺的に描いた、見応えのある作品と言えるでしょう。 動物ものの映画としては異例ともいえる、大胆な表現と笑いが詰まった、忘れられない一本です。

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