競技者必携

『競技者必携』（きょうぎしゃひっけい）は、公益財団法人全日本軟式野球連盟によって刊行されている、軟式野球に関する専門的な解説書です。主に軟式野球の審判員、連盟役員、そしてチーム関係者が手にする重要な書籍として位置づけられています。これは、公認野球規則だけでは網羅しきれない、軟式野球独自の規定や運用上の詳細を補完する役割を担っています。なお、全日本軟式野球連盟から分かれて設立された日本ソフトボール協会も、同様の趣旨でルールブックと共に類似の書籍を発行しており、基本的な考え方は共通しています。

本書の内容は多岐にわたり、競技運営に必要な実務的な情報から、規則の細かな解釈に至るまで、軟式野球に深く関わる人々にとって不可欠な知識が詰まっています。

具体的には、以下のような項目が詳細に解説されています。

競技場の設営基準：野球競技場における各種の区画線（ライン）の引き方や基準寸法などが示されています。
基本的な競技規則の解説：フェアボール、ファウルボール、ストライク、ストライクゾーン、投球姿勢といった、野球の基本的なプレイや判定に関する詳細な説明や、公認野球規則だけでは分かりにくい部分の補足が行われています。
全国大会に関する規定：全国規模の大会を円滑に運営するための規則や、参加チームが遵守すべき注意事項などが明記されています。
連盟独自の規則や取り決め：競技運営や審判活動に関して、全日本軟式野球連盟が独自に定めた特別規則や細かな取り決め事項が掲載されています。
規則適用上の解釈と質疑応答：複雑な規則を実際の状況にどのように適用するか、具体的な事例に基づいた解釈例や、過去に寄せられた規則に関する質疑応答の事例集が豊富に収められています。これにより、曖昧になりがちな規則の適用について統一的な理解を深めることができます。
審判員に関する詳細な規定と指針：審判員の服装、立ち位置（構え）、プレイに対する判定の方法、宣告の仕方、ジェスチャーなどが細かく規定されています。また、審判員として求められる基本的事項や注意すべき規則についても解説されており、質の高い審判活動を行うための実践的な手引きとなっています。
* 連盟規程類集：競技者規程やその細則、その他の連盟が定める各種規程がまとめられています。

『競技者必携』の編集は、全日本軟式野球連盟の役員や技術委員会会員が中心となって行われています。初版は1971年3月15日に発行されました。その後も改訂が重ねられ、2005年には第18版が発行されています。当初は2年に一度の頻度で発行されていましたが、規則の変更や運用に関する新たな知見に対応するため、2015年以降は毎年発行される形に改められました。

かつて（例えば2006年時点）は基本的に非売品として扱われていましたが、一部の大手書店や野球用品を扱うスポーツ店では購入できる場合もありました。同時期、公認野球規則は市中の書店でも一般的に販売されるようになっています。

このように、『競技者必携』は、公認野球規則と共に、軟式野球のルールを正しく理解し、円滑な競技運営を行うために、関係者にとって不可欠な情報源であり続けています。特に審判員やチームの指導者にとっては、日々の活動や大会参加に際して常に参照すべき、文字通り「必携」の一冊と言えるでしょう。

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